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承-1

ーーー承

 ロナウドとリアムは長旅の末、剣国と銃国の国境沿いに到着した。

 地図を取り出し、現在地を確認する。


「リアム。この先に村がありますから馬を休ませましょう」

「おう! 了解だ。戦場はまだ先だろ?」

「ええ、バチバチなのは国境沿いの砦のようですから。まだ戦いはしないですよ」


 リアムは静かに戦闘準備をしていた。


「キヒヒ、バレたか」



「焦げ臭いぞ!」


 するとリアムの鼻が反応した。


「方角は?」

「この先、村のほうだ!」


 バシッ。


 それを聞き、ロナウドは馬にムチを打つ。


「走って!」


 リアムもそれに続く。

 三頭の馬は走り出す。


「黒煙が」


 二人の目に村の状況が目に入る。


「戦闘準備を」

「何時でもいける!」


 ロナウドは懐に手を突っ込む。

 リアムは手のひらサイズの棒を手に持つ。


「走っていきましょう」


 そして馬の手綱を引っ張って止める。それと同時にロナウドは飛び降りた。

 リアムは馬の鞍に立ち、ロナウドと同時に飛び降りる。

 二人は走って村へと向かった。



「女子供はとっ捕まえろ! 男は殺して構わんが数人は逃してやれ!」


 襲撃者は顔だけを隠したバラバラの服装。しかし全員が黒色と統一して、剣を武器にしている。


「なんで剣を持って……ぐはっ」

「剣ということは剣国の!?」


 村人たちは武器が剣ということだけで剣国の者たちだと判断している。


「そうさ! 俺たちは剣国の人間だからな!」


 襲撃者はそういった虚言を叫びながら剣を振るっている。


「女子供は集めたか?」

「へい、隊長。火の届かない、家にぶち込んでおります」

「よし。第一が来たら、すぐに撤退だ! 出発準備を始めろ!」

「「「おう!」」」


 襲撃者たちは女子供を馬車に乗せる準備を始めた。



「チッ、こっちも何人か殺られたな」

「そんなもんだ。慣れねぇ、剣なんか使ってんだから。くそー、俺も混ざりてぇー。なんで見張りなんか」


 二人の襲撃者は村の入口で連絡係をしている。ただ立っているだけだが。


「ふぁーあ。ん? 何だ?」


 あくびをして前を見ると二人の男女がーー


「ゴフッ」


 投擲用ナイフが首を刈った。

 首はゴロッと地面に落ち、体は力を失って倒れた。


「んな!?」


 もう一人が二度見をして驚く。

 咄嗟に慣れない動作で抜刀をしようとするが遅い。


「ん?」


 目が地面に落ちた。

 表現的には、これが正しい。

 襲撃者の首は斬られ、地面に落ちた。それは痛みが無く、自身の首が斬られたことが分かっていなかった。


「コイツらが?」

「そのようです。もしかしたら銃国の者かもしれません。リアムは気をつけてください」

「おうよ!」


 斬られた本人には、この会話が最後の記憶だった。



「隊長! 準備出来ました!」


 隊長は部下が馬車に乗せられた女子供を見る。

 女子供、全員が怯えて大人しく座っている。


「分かった。待機していろ。少しイジるくらい構わん」

「よっしゃ!」


 そして村の黒煙を見る。

 家々に火を放ち、火は次々に燃え広がっている。今、消火活動をしても間に合わないほどの酷さだ。


「全く酷いことを考えるもんだ。ん?」


 すると足が引っ張られる。

 隊長が地面に目を向けると、一人の男が足を掴んでいた。


「絶対に……あの方が……。ハァハァ、お前らを」


 村の男は地面に血を流し、虫の息だ。


「あの方? 断絶のことか?」

「そうだ。……あの方が助けてくれる」

「フハハハッ! そんなあの方はこんな時にもいないのか? 断絶は死んだんだよ! だから助けは来ない。お前らもここで死ぬ。女子供も俺たちが可愛がってやるさ!」

「ぐうううぅぅぅ」


 男は一矢報いようと両手で足を掴む。


「汚らしいな。さっさと死んでろよ!」


 そして隊長は足を振り上げた。


 ドサッ。


 しかし隊長の体は首を失い、力を抜いて倒れた。

 男は見上げた。


「あとは任せろ。必ず全滅させてやる」


 それはロナウド・ジークハルト。


 剣国の英雄にして第三騎士団長。断絶という能力を持ち、人類最強と言われる男。


 ロナウドは血を流して死にかけている男の元に跪き、ニカッと笑って言った。

 それを見て男も安心したような顔で目を瞑った。

 立ち上がり、もう一本のレイピアを抜刀する。口は閉じ、目には狼をも射殺すほどの強さがあった。


「リアムは火を」


「あ、うん」


 リアムはそんなロナウドの姿に萎縮する。

 怖さもあった。しかし何時もの優しく笑顔な彼とは違った、カッコよさを感じていた。


 トクンッ。


 リアムの心臓が跳ねた。

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