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白玉楼の朝ごはん ※短編集第1話と同じ話です。

作者: 粟飯原勘一


魂魄妖夢の朝は早い。

何しろ彼女の支える白玉楼の主、西行寺幽々子はとにかく食にうるさい。

朝食にも勿論こだわっており、そのこだわりの分だけ妖夢の準備も長くなるからである。


「さてと…」

今日も朝食用の胚芽米の炊き込みを始め、妖夢は一息ついた。

昨日、風呂上がりに主である幽々子から言われた言葉をもとに、妖夢は夜中まで材料集めに奔走。

従って今日の妖夢はいつもより就寝時間が短い。

「…」

苦労して夜中にミスティア・ローレライに頼み込んで入手したそれを水洗いし、2つを幽々子、1つを自分の皿に用意する。

そして、それに合わせるために西行寺家に伝わる秘伝の調味料を瓶に移し変える。


実はこの献立は西行寺家の朝食で幽々子がもっとも楽しみにしているものなのであり、また昨日のように急に幽々子が食べたくなったりもする。

調理自体は簡単だし、妖夢も食べる分には好きなので献立になるは構わないのだが、急に献立に組み入れることになると準備が大変だったりするので厄介。

今朝はそんな献立。


「…そろそろね」

いい感じに胚芽米が炊き上がったので、それを櫃に移す。

今日のご飯は我ながらうまく炊き上がった。

そして若干冷ましておく間に、皿に盛ったそれと調味料を膳に出し、味噌汁を準備する。

今日の味噌汁は豆腐とわかめ。

元々は豆腐と油揚げにしようかと考えていたのだがメインのおかずが変わったので野菜的にわかめに替えた。

白玉楼の庭師は栄養管理も大切なお仕事。

仕上げにキュウリの浅漬けを用意し、もう起きているであろう幽々子を呼びに行く。


「失礼します。幽々子樣、朝食の準備が整いました」

「ええ、今行くわね…あれにしてくれた?」

急にこの献立にすると、幽々子は必ずこの質問を投げてくる。

それも予想済み。

だから妖夢はとびきりの笑顔で「はい!」と答える。

普段から楽しそうにしていることの多いこの主だが、一番上機嫌になるのがこの瞬間。

それも妖夢はよく知っていた。


「はい、どうぞ」

櫃に入った胚芽米を渡すや否や、幽々子は皿に乗せられたそれ…卵を割る。

そこに西行寺家秘伝の醤油をかけて卵を溶いていく。

そして程よい暖かさのごはんにかけて混ぜていく。

これぞ、西行寺家至福の朝食、卵かけごはん。


「んー!!これよこれ!!最高ね、妖夢!!」

「はいっ!!」


今日も白玉楼では幸せな一日が始まった。


~The end~


数年前、講習会の昼休みに思い立って書いたものです。

歴代の小説の中では、最も即興で書いたものです。

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