6.再会と後悔
幸い図書館からあの宿へはそこまで距離が遠くない。僕なら走れば5分もかからない。鍛えてるからね。
「すみません、リーラって人泊まってませんか?」
「あぁ、・・・あんたがフルスかい?」
「はい、手紙にリーラがここに泊まってるってあったので。」
「なるほど、嘘は言ってないようだね。こっちだよ。」
そうして案内されたのは客が泊まるための部屋ではなくスタッフルーム。何故かは大体予想がつくけどどうやって入れさせてもらえたんだ?
「リーラ...」
「フルス...」
「それじゃ積もる話もあるだろうからわたしゃ店番でもやっとくかね。」
そう言い、女将さんがカウンターに戻ると気まずい雰囲気になりそれに耐えきれずにリーラが口を開いた。
「えっと、ごめんなさい。もっとしっかり止められてればよかったのに。」
「もういいよ、僕のために頑張ってくれてたってわかっただけで十分。他のメンバーからどう思われてたかもわかったしそれなら僕がいない方が気楽だろうからね。」
正直言って思うところはあるけどそこまで気にしてない。こんな僕でも拾ってくれた恩はあるから。『一陣の旋風』のメンバーはAランク戦士ワレシュ、Bランク拳闘士グルズ、Bランク攻撃術師レトゥー、そしてAランク弓使いリーラで成り立っていた。前衛と後衛でバランスがとれているけどレトゥーは職業と適正のせいか回復魔法が苦手だった。だから回復術師か僧侶が必要だったんだと思う。でも僧侶は回復術師の上位職、ほいほいいるものではないし大体がパーティに属している。
「・・・私たちにはフルスは正式な仲間だって言われてたけどEランクって知ってから何かが引っかかったの。パーティランクはCかBじゃないとおかしいって。そして雇うという名実で仲間に入れたってわかってダメなんじゃないかってすぐにワレシュに抗議しに行ったけど「EランクがAランクパーティに入れるわけないだろ?せっかくのパーティランクが落ちるじゃないか。」って。・・・今考えてみれば止めるよりも正式に仲間にするように交渉するべきだったね...。」
「・・・。」
「で、そこからフルスのお姉さんに頼んで色々と規則について調べさせてもらったら今までやってたことの3割が懲罰対象。その中でも雑用が担当の雇っている人をクエストに同行させた場合責任者の冒険者資格の剥奪及び労働奴隷落ちってあったの。それらの証拠を集めたのがあの小包に入ってた書類。あれはどうしたの?」
「姉さんに渡したよ。」
「なら今頃『一陣の旋風』は解体されてるとこかな。全部包み隠さず書いたから私も懲罰対象だろうね。」
「え、そんな...」
「いいの、これは自分への戒めでもあるから...。」
リーラの言い分もわからなくはない。僕からしたらそこまでだけどリーラからしたらそうなってもしょうがないと思っているんだろう。ワレシュたちは『自業自得』だけどリーラは見方を変えれば被害者でもある。もしかしたら『抒情酌量』が出来るかもしれない。
「そこまで言うんだったらギルド行こ。全力で庇うから。」
「フルス...うん、行こうか。」