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5.報告と捜索

 スークを連れて森から出ようとすると、いくつか視線を感じた。でもいつも感じる蔑みのような嫌なものではなく割れ物を見るような、はたまた自立する我が子を見るような心配と優しさが入り混じった視線だった。


「・・・いってきます!」

「あるじ?どうしたの?」

「いや、なんとなく?」

「ふーん...あるじになら姿くらい見せてもよかったんじゃないかな...」



 〜フルスが去ったあと〜

「これが「尊い」ってことか...」

「あの子の心境ははかりきれんな。」

「この際私たちも従魔にしてもらう?」

「・・・仮にも俺たちは人族にとっては脅威である『ドラゴン族』だ。いきなり出てきて従魔にしろって言われても混乱するだけだぞ?それこそ嫌われかねない。」

「「「うーん(うーむ)...」」」

「・・・次の機会を待つとしよう。追いかけて押しかけるわけにもいかんしな。」

「「賛成。」」



「フルス君!遅い!心配したんだから!」

「ご、ごめん...」


 ギルドに戻った時には僕が出て1日が経っていたらしい。なんとか捜索依頼を姉さんが出す前に帰れたが説教を受けている。受けていたクエストの方は達成期限が1週間ある常備型のクエストのため普通に納品してから余剰分を換金してもらった。ちなみにスークはフードの中でお休み中である。最初会った時よりほんの少し大きめだけど両手でなんとか包めるくらいには小さい。そんなこんなで10分ぐらい説教された。


「ふう、次からは気をつけるんだったらこの話は終わり。フルス君、なんか変わった?心なしか少し吹っ切れたような気がするけど。」

「あー、ここだと人多いし後で2人で話すよ。」

「わかった。」


 流石に端の方とはいえどギルド内で説教するのはやめてほしかったな...。視線が痛い。


「ん?誰かと思えばフルスじゃないか。こんな朝っぱらに説教とは何しでかしたんだ?」

「あ、ワレシュ...なんか用?」

「追放しといて厚かましいとは思うんだがリーラを見てないか?フルスが出た夜にいなくなったんだ。」

「え、リーラが?・・・僕は見てないな...。」

「あぁ、リーラなら昨日ギルド開いてからすぐにパーティ脱退の手続きをしてたみたいよ?私は昼しか出てなかったから知らなかったけど同僚が対応してたみたい。」

「「なんだって!?」」

「それに応じて『一陣の旋風』のパーティランクはBに引き下げ。確か新しく仲間に入れた回復術師はBランク、Aランク1人Bランク3人なら妥当でしょうね。」

「な...」


 うわ、僕がいない間にそんなことが...パーティランクはメンバー平均だけど1:1の時は上のランクとして処理される。つまり新しく仲間に入れた回復術師がAランクだったらギリギリ後パーティランクはAでとどまっていた。


「・・・書き置きでも残しといてくれたら...。」


 書き置きね...あれ?そんなやつあったような気が。


「・・・(姉さん今いける?)?」

「!・・・(わかった)。ちょっと席外すわね、ことが済んだら戻るから。『転移』。」

「え?ちょ」



「家に戻ったのっていつぶりだっけ。」

「あの日からでしょ?あのパーティのとこに行っちゃった日。で?何かわかったの?」


 姉さんは数少ない『転移』持ち。そのこともあって補佐になったっていう意見もあるけど努力の賜だから陰口で済んでる。


「追放された日に部屋の中に手紙と小包があったんだけど色々あってすっかり忘れてた。」

「フルス君ったら...。」


『フルスへ

 これを読んでる頃には落ち着いた場所で、もしかしたら『一陣の旋風』の人たちが私を探してるかもしれない。先に書いておくと追放を止められなくて本当にごめんなさい。手紙よりも直接謝りたいのは山々だけどフルスが出た夜に抜け出して翌朝にパーティ脱退の手続きをする。だから『一陣の旋風』の人たちが探すと思うけど戻るつもりはないよ。一応前にフルスに教えた宿、そこに1週間はいるつもり。自分から会いに行けないっていうのは言い訳と思われてもしょうがないのはわかってる。許してくれるのなら会いにきて欲しい。そしてこの手紙は絶対に他の人には見せないで。これだけは言い切れる、絶対フルスのせいにする。小包も一緒にあったと思うけど中身は書類。ギルドの人に渡せば...面白いことが起こるかもね。

 リーラより』


 予想通りリーラからだった。・・・これはことが大きいな。言うに言えない状況で更に不穏なことも最後にあった。小包も取り出して中身を確認してみると10枚以上もの書類があった。


「えーと...姉さん?これ見てくれない?」

「どれどれ?・・・うんうん・・・ほうほう・・・なるほどね。ざっと目を通したけど『一陣の旋風』に関する違法行為ね。これが上層部に知れたら一発で労働奴隷落ち。」

「うわぁ...。」


 中身は予想以上だった。まさかリーラがスパイみたいなことをしていたとは思わず更にそこまでの証拠が集まってるとは思わなかった。・・・違法行為が何かはわからないけど。


「・・・あとは私に任せて、フルス君は早くリーラさんのところに行ってあげて。手紙の内容はわからないけど場所も書いてあるでしょ?先に...そうね...図書館の近くに行くから。」

「え、でもそれは結構な負担が...」

「これくらい大丈夫!行くよ。『転移』」


「着いたっと。うっ...」

「姉さん!?やっぱり無理してる!」

「いいのいいの、それより行って。私はまだやることが残ってるから。」

「・・・わかった。ありがとう、()()()()()。」

「!!・・・うん!行ってらっしゃい!」

ブックマーク12件...だと...本当にありがとうございます!評価してくれた人もいてとても嬉しいです!良い、悪いと思ったところは感想にて教えてもらえれば解決に、更なる向上に前向きに取り組んでいきます。


次はリーラとの再会。スークはいつ起きるんでしょうね?

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