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可哀想な弟を持つとある副ギルドマスター補佐のお話

あと2個くらい別視点出します、暗めです

 フルス君はちっちゃい頃から感情を人前では見せない子だった。嫌なことも、辛いことも、何も言わずに引き受け、部屋でこっそり泣いていたのを知ってる。だからこそ私がしっかりしなきゃと思った。でも、それが更にフルス君を追い詰めるなんて思ってなかった。


 フルス君は冒険者を夢見ていた。興奮からか私にはわからない単語もいくつかあったけどこれほど楽しみにしてるのは私も初めて見た。だから、そんなフルス君のサポートができるようにギルドのスタッフになることを決意した。冒険者を束ねる施設であるギルド、そこに雇ってもらうことは決して簡単じゃなかった。接客、換金の計算、喧嘩の仲裁、魔物とクラスの知識、平民にはとても厳しいことだった。それでも!フルス君のために、お金も日雇いで貯めて、一生懸命勉強して、口調まで矯正して、力もつけた。そのおかげで推薦で入ることができた。でも、聞いてしまった。


「***は本当に優秀だな。それに対してあの不出来な弟と言ったら、回復魔法しか適正がないくせにまともに使えない落ちこぼれじゃないか。」


 その時、私の中で何かが消えた。そのあとは私も覚えていない。我に帰った頃には全身傷だらけで這いつくばって許しを乞おうとする人とギルドマスターと野次馬、そしてフルス君が私を見ていた。・・・怪物を見るような目で。そのあと私に言ったのは


「僕なんか(・・・)のためにお姉ちゃんが悪者にならないで...。」


 その日からフルス君は更に感情を押し殺すようになった。お姉ちゃんと呼んでくれなくなった。姉さん呼びになった。甘えてこなくなった。仕事を辞めたくなった。それでもまだフルス君が冒険者を目指していたから辞めなかった。


 今では副ギルドマスター補佐まで上り詰めた。地位には興味がなかったけどフルス君が「すごい」と言ってくれた。今では壁があるとはわかっているけど距離は離さなくしてくれるようになった。私は最低限しか支えない。フルス君が心を完全に開いてくれるまで。

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