2.覆せない現実と心の支え
日が出るくらいで目が覚め、日課を終わらせると同時に朝食に呼ばれた。え、日課?『きんとれ』ってやつと魔法の正確さと効果を上げるために空撃ちすることだよ。『きんとれ』が何かってのはわからないけどなんとなくこの方法がいいって感じがある。きついけど。朝食を食べた後は気が進まないけどお金を稼ぐためにギルドに行くことにした。相変わらず大きいと思う。
「おい、きたぜ追放されたっていう欠陥術師。」
「よくEランクのくせにあのAランクパーティにいられたよな。」
・・・だから来たくなかった。ランクはFからSSSまであってBもあれば冒険者としては十分な実力があると言える。個人とパーティそれぞれにランクがつけられるけどパーティランクはメンバーの平均ランクを基準にする。『一陣の旋風』のパーティメンバーは僕を除き全員AとBランク。そうなるとパーティランクはBぐらいのはずだがおそらく僕は戦力外とされていた。パーティハウスを持っているパーティは食事や掃除を行う人を雇うことがある。その枠にでも僕を当てはめたんだろう。ランクを下げたくないがために。こんなところには長くいたくないしさっさとクエスト受けるか。
「すみません、Eランクで受けれるクエストで薬草採取っt」
「あっフルス君!追放されたって聞いたけど大丈夫だった?酷いことされてない?」
「う、うん...えっと、クエストh」
「あのパーティ、雑用とか全部フルス君に押し付けてるくせにいったい何様のつもり?」
「・・・いい加減落ち着いてよ姉さん!」
この人は僕の姉のルルス。この町の副ギルドマスター...の補佐。それでも補佐とはいえどそれなりの地位にはいる。器はでかい、度胸もある、顔も広い、そしてどれくらいかは明言しないけど胸部もでかい。だから変な目で見る男も多い。大体バレるか報告されて姉さんにシメられるけど。
「おっとごめんごめん、かわいい弟が心配でついね?で、薬草採取か...あるにはあるけど『あの森』に入ることになるよ?」
「『あの森』か...でもそこまで深くはいかないってことでしょ?受けるよ。」
「私はおすすめしないけどフルス君が決めたなら何も言わないよ。それじゃ受領したから気をつけてね。」
「わかってる。」
『あの森』は『竜の集会所』って言われるくらいドラゴンの目撃情報が多い森でしかもドラゴンだけじゃなくフェンリル、オークキング、エンペラーイーグルのような危険度の高い魔物も見られる。その分効果の高い薬草や上質な木材や鉱石もある。だがランク制限は特にかかっていない。というのも奥に入れば入るほど危険度が上がり、入ってすぐはFランクでも倒せるような魔物も多い。だからこそランク関係なしに『あの森』関連のクエストが多いわけである。準備自体は済んでいたのですぐ向かえば暗くなる前には帰れるだろう。
「そういえばなんか忘れてることがあるような...まぁ終わったら思い出すか。」