10.竜ともう1人の記憶
気持ちいい風を感じて目が覚めるとスークの上で緑豊かな木々に囲まれていた。頭調も良くなっていてお礼を言おうとすると...3頭のドラゴンが僕を見ていた。普通なら発狂ものだが何故か恐怖のような嫌なものは感じなかった、そして少し感じたことのあるような...
「おはようあるじー、起きてすぐで辛いだろうけど3頭とも従魔にしてほしいって。」
「・・・へ?」
「ほら、困惑してるだろ。だから起きた時にした方がいいと言ったのに...」
「だってせっかく朱雀様が連れてきてくれたのよ?今しかないと思ったのよ。」
「わしはなにも言うまい、まぁ早くきてくれたのはありがたいことには変わらん。」
・・・ドラゴン族って凶暴だったり独占欲が強いって言われてるらしいけどこれ見るとどこかしら親近感を感じる。見た目は威圧を与えるためだろうけどこれが見た目で人は判断できないってこのことなのか。さっきからずっと見られてるのは少し落ち着かないけど...あっ
「昨日見てたのってまさか君たち?」
「「「そうだ(そうよ)。」」」
「なるほど。スーク、テイムってどうしたらいいの?」
「テイムは名前を与えて相手が応じたらできるよ。魔力量で何体までか決まるけどあるじの今の魔力量ならドラゴン100頭は余裕なんじゃないかな?結界って人間が10人ぐらい集まってやっと使える極位魔法だしそれくらいはあると思うよ。」
「えっ...」
衝撃の事実がポロッと出てきたけどテイムの方法はわかった。どんな名前にするか。緑、黒、赤のドラゴン...
「バハム、クロノ、ズライ。どうかな?」
「バハムか...いい名だ。」
「クロノ...いいのう。」
「ズライ、いいじゃない!」
“エメラルドドラゴン『バハム』、ブラックダイヤモンドドラゴン『クロノ』、ルビードラゴン『ズライ』が従魔に登録されました。SSランク以上の魔物を3体以上従魔にしたためスキル『種族変化』を追加。・・・創造神のアクセスを確認、一時的に意識を天界へ送ります。”
あれ?めまいが...最近いきなり眠ったり意識失ったり散々...あっもう無理...
「どう、目が覚めたかい?」
「・・・誰ですか?」
真っ白な空間だった。そこにはこれと言っていいほど何もなく...というわけじゃなく生活感溢れる至って普通の家具が置いてあった。だからこそ異質さがうかがえたが覚えがある。そして何故か『パイプ椅子』に神々しい人が座っていた。
「僕は創造神。気軽にテラスとでも呼んでくれていいよ。」
「創造神って、状況的に信じるしかないんだけどなんで僕をここに?というかここどこ?」
「ここは天界、ちょっと君に伝えなきゃいけないことがあって呼んだんだ。・・・これらに見覚えがあったんじゃないかな?」
その言葉に少し動揺する。自分でもわからないことを知っているというふうに言っていることに。
「本当みたいだね、はっきり言うと君はフルスという記憶の中に違う世界の人間の記憶が混じっている。そして僕は歪な二つの記憶を完全に切り離すか融合できる。それを君に判断してもらうためにオペレーションに君の意識を天界まで呼び出させた。どうする?」
「・・・二つの記憶...」
その言葉を聞くと頭痛と共にいろんな景色が脳裏に浮かんだ。心配そうな視線、いじめ、死の恐怖、励ましてくれて大事な友人、後悔、明らかに自分ではない誰か...いや、紛れもない自分の記憶だった。今の僕はフルスであってフルスじゃない、考えれば考えるほど吐き気がしてきた。
「無理に考えない方がいいよ、そのままだと自我が崩壊する。フルス、君はその記憶をどうしたい?」
「どう...したいって...?」
「切り離してただの『フルス』として生きていくか、融合させもう1人の自分の知識、記憶を抱えて生きていくか。」
「・・・僕は...
〜その頃スークたち〜
「その子は本当に大丈夫なのか!?とても苦しそうだぞ!」
「・・・あるじは複雑でね、2人分の記憶を持ってるんだ。両方とも心に傷を負っている辛い記憶。でも片方は救われたけど死んで、もう片方はまだわからない。今は自分自身と向き合ってけじめをつけているんだよ。常人じゃ耐えられないほどの苦行をね。僕たちには何もできない、でもあるじがどんな決断をしようとどんな結末になろうとも一緒にいるって決めたから。ただ祈るんだ。」
「・・・そうね。どう騒ごうとも何も変わらないんだからこの子の無事を祈りましょう。」
「将来がどうなるか、わしも気になるところだ。・・・頼むぞ...」
「そうだな...」




