9.粛正とひと段落
呼びに来たギルド職員について行くと怪我人は見当たらないもののどこもかしこも酷い有り様だった。備品はほぼ全て壊され壁や扉は原型を保っているのもやっとだとわかる。
「・・・酷い...」
「これは余罪が増えたな...」
「フルス?ちょっと雰囲気が怖いんだけど...」
「おっと寒気が...」
その光景を見て僕の中で感情が消えた。いや、いくつかはある。あるのは呆れと怒りだけだ。自然と僕は微笑みを浮かべていた。初めて見る人は全く警戒もしないだろう。
「早く行こ、あいつら止めてしっかり償わせないと。」
「「う、うん。」」「おう...。」「・・・ギルマスへ言動に注意をしておくように言っておこう...」
(なかなか面白いことになってきたね。まさかここまでドス黒くなるとは。それも含めていいところだとは思うよ。)
「まだやってるよ...」
「おい、誰か止めねーのか?」
「Aランクパーティが暴れてるってのに止めれると思うか?」
「・・・お姉ちゃん、あいつらと僕を訓練所に送って欲しいんだけど、お兄ちゃんは介抱してあげて。」
「・・・わかった、でも無理したら後で説教だからね?すぐ向かうから。」
「今お兄ちゃん呼びにされても少し複雑なもんだな...」
「『転移』」
訓練所に転移すると転移は初めてだったのか目に見えて3人とも動揺している。ワレシュは僕を見つけると叫びながら他2人と襲いかかってきた。何を言ってるかは聞きたくもない。
「『結界』」
「****!?」
『結界』は魔力が足りなくて全く使っていない魔法の一つ、今は何故か使えるが気にしている暇はない。一度張ってしまえば術者の魔力が切れるか意識がなくなるまで何も通さない。そう、何も。攻撃も、音も、衝撃も、そして空気も。結界に攻撃が入ると術者の魔力が削れるが発動時に多めに魔力を注いでおいたのでとてつもなく硬い。ダメージを与えるためには中位の魔法でもないと入らないだろう。だがそんなことをしたら中もただでは済まない。つまり、
「『ジ・エンド』、ちゃんと罪は償ってもらうから。」
「**!******!」
「出しません。窒息死まではさせないから、気絶するまで苦しんで起きたら犯罪者。『身から出た錆』ってやつだね、お疲れ様。」
音は通さないと言ったけど結界には結構応用がきく。使い方によっては自分の攻撃だけ通して相手からは通さない一方的な状況まで作れてしまう。ただし本来の使い方ではないため消費魔力が増えたり結界の耐久力が減ったりする。今はこちらの音だけ通すようにしている、デメリットとして耐久性が減るがさっき言った通り魔力を多めに注いだため問題はない。相手の言っていることは『読唇術』でなんとなくはわかる。
「*****!*********************!?」
「だって言ってないし、知ろうともしなかったんだから当然。」
「・・・**************?*********************。」
「スークは何もやってないよ?全部僕だけでやってること、今までは魔力不足で出来なかったけど多分『テイマー』を手に入れた影響かな?ことが終わったら軽く確認してみよう。」
「・・・フルス君?これはどういうこと?」
「あ、姉さん。気分は大丈夫?」
「なんとかね、ってそれより!このままだとあいつら死んじゃうよ?何やったかは知らないけどぐったりしてるけど。」
「こいつらは一回死んだ方がいいとは思うけどね。蘇生なんて僕にはできないから気絶したら解除して警吏に突き出すけど。」
「なかなかえぐいこと言うね...同情はしないけど。残りの人たちは後始末してるからそのうちくるよ。」
「わかった、もうそろそろ潮時かな。『解除』。」
そう言うと結界が消え、そこには気絶している3人がのびていた。中には泡を吹いているのもいたが関係ない。こいつらはAランクパーティから犯罪者に成り下がった、判決がどうなるのは目に見えている。警吏の人を呼んで連れて行ってもらった。正直のところ顔すらもう見たくはないけどそういえば何か要求ができる...そうだ。
「すみませんこいつが起きた時に伝言を頼みたいんですけどいいですか?」
「?ああ構わないが。」
「これ以上余計なことをするな。今はこれくらいでいいけど破ったら次はない。フルスからって言ってやってください。」
「・・・なかなか言うな、わかった。責任持って伝えておくよ。」
「ありがとうございます。」
これでよし、あとは任せよう。ちょうどすれ違いで残りの人たちもきたけど色々ありすぎて疲れた...と、安心したら眠気が...まだ、今倒れるのはまずい。フードにはスークがいるのに...。
「あるじは結構な無理するね。増えた魔力でもギリギリになるまで使って、僕みたいになっちゃうよ?魔力不足ならゆっくり寝て。僕が運んでおくよ。」
「あ、ありがと...」
そういうとスークが大きくなって力が抜けて上に倒れ込んだ。
「もう寝ちゃった、ほんとは魔力が濃いところがいいんだけど...そうだ。確か...ルルスだっけ?」
「え?うん何?」
「あるじは魔力不足だから丸一日以上は目覚めないって上で言うけどちょっと森まで連れて行く。森の方が魔力が濃いからあるじにとって居心地がいいはずだけど。」
「・・・姉としてはだめって言いたいところだけどスークがただの鳥じゃないってのは薄々感じてる。任せたよ?フルス君に何かあったらじゃ遅いから。」
「大丈夫、全力で守るしそもそも並大抵の魔物は近づけないから。じゃ、行ってくるねー。」
「・・・帰ってきたら説教だね、言いつけ守らないで。ふふっ、フルス君らしいな。」
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