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死神 凛  作者: 真桑瓜
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大山椒魚

大山椒魚(おおさんしょううお)



「住職、ここはどこでしょう?」

「さあ、声が反響していますね。どこかの洞窟の中でしょうか?」

「真っ暗で何も見えません」

「それに何だか生臭い」

「確かに臭いますが・・・」

「きゃっ!」よっちゃんが悲鳴を上げた。「この床ヌルヌルしています、それに・・・動いてます!」

「あっ、本当だ動いてる!」慈恵の声がうわずった。

床はゆっくりと上下していた。

「目が覚めたか?」

地の底から響くような声だった。

「誰ですっ!」慈栄が誰何した。

「どこにいるんだ!」

「お前達は俺様の背中に乗っている」

床が大きく動いた。

「わっ!地震だ!」

「キヤー!」

「危ない、どこか掴まる所は!」

「ありません!」

三人は、まるで滑り台のようにズルズルと床を滑っていった。

ドサっと硬い地面に投げ出された感触があった。

「イテッ!」

「痛い!」

「こ、腰が!」

「うるさい奴らだ!」さっきの声が言った。

「あなたは誰なのです?」

「姿を見せろ!」

「そうだ、そうだ!」

弥勒寺の三人は威勢良く言った。

「そうか?見ぬ方が身の為だと思うがな」

「いいから姿を見せなさい!」

「驚くなよ・・・」

どこからか光が差し込んで来たと思ったら、目の前に橙色の壁がむくむくと立ち上がった。橙色の光は、壁自体が放つ光だった。

よく見ると壁には短い手足が生えている。見上げると緑色に光る目が三人を見下ろしていた。壁だと思っていたのは怪物の腹だったのだ。

「あわわわわわわわ・・・!」

「なな、なんです貴方は!」

「住職、こいつ手足に水掻きがあります!」

「水掻きっ!」

「だから驚くなと言ったろう。俺は大山椒魚の経立だ」

「フッタチ?」

「フッタチとはなんです!」

「生き物は、歳を経ると不思議な霊力を持つようになる。俺はこの洞窟で百年の歳月を経てこの姿になった」

「それが何で私らを拐ったんだい!」

「フフフ、偉い坊さんを喰うと不死身の躰が手に入るらしいからな」

「なにー!私らを喰おうっていうのかい!」慈恵が絶叫した。

「お前はあまり偉くなさそうだ」

「わ、私はお坊さんじゃありませんよ」よっちゃっんが言った。

「ふん、お前もついでに喰ってやるさ。痩せギスで不味そうだけどな」

「やめなさい!坊主が食べたければ私だけでいいでしょう!」

「そうはいかん。ここは食料が少ないからな、喰える時に喰っておかなきゃ、次はいつ手に入るか分からんのだ」

「お前なんかに喰われてたまるか!」

「ほう、威勢の良い坊主だ。だが今は喰わん、有り難く思え」

「なら、いつ喰うんだい?」

「明日の満月の夜だ」

「どうして!」

「満月の夜に喰わなきゃ、効果が現れん。それまでそこの牢に入っておれ!」

山椒魚はくるりと背を向けた。その途端三人は山椒魚の尾鰭に弾き飛ばされて、牢の中に転がり込んだ」

ガシャン!と音がして鉄格子の扉に鍵が掛けられた。

「明日は子分の水虎どもにもお前達の肉を分けてやろう。ふはははははは・・・!」


不気味な笑い声を残して、山椒魚は洞窟の奥へと消えていった。








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