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行きて埋まりし物語  作者: お前の水夫
第3章 探索者テルテル
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第5話 持ってこれなかった物


 近距離の転移魔方陣については、このまま撤去作業をツボニハイルを使って進めつつ、テルテルは貯蔵庫の内容を確認するべく庫内へと入った。


 テルテルは中を見て唖然(あぜん)とした。内部には文字通りのお宝で(あふ)れていたからだ。金貨や銀貨は他の隠れ家にもあったのだが、宝石の付いた短剣や金製の首飾り・髪飾り・指輪・腕輪ときて豪勢なこしらえの両手剣まであった。


 ちなみに後で数えて確認したところ、金貨:1628枚、銀貨:3455枚もあった。


 他にはツルハシやスコップ、土砂や石を運ぶためのもっこやリヤカーが何故か部屋の隅にまとまっていた。


 さらには普通の実用的な(やり)と短剣、大きな戦棍(メイス)、片手持ちの剣がそれぞれ30本以上ずつあった。


 定番の金属資源については銅が約10トン、鉄が約10トン、銀も約10トン、アルミが約4トンの合計34トンと他の隠れ家よりも多い結果となった。


「アリエーネ提督、この隠れ家の品物なんだけど内容が変だ。反攻ゲリラというよりは……」


【そうね……どちらかと言えば盗賊のアジトよね。もしくは宝探しに成功したハンターの家って感じかしら。多分だけど、モッティーキマスタ氏は河賊の隠し財宝ってのを見つけたのかもしれないわ】


 階上に居て、書斎で日記をあさっていたアプデスタ参謀から報告があった。


【アプデスタです。ここはモッティーキマスタ氏の邸宅で間違い無いようです。彼は日常生活に関わる品物の作製を行っていたようです。器用な方だったようですね】


「それじゃ照明器具や、調理用の炉が作れた人だったわけか。給湯器もだ。参謀、書斎に技術資料はあるかな?」


【メガモリーよ。技術資料もあるわね。ここにある物って、この都市では枯れた技術の扱いでしょうね。今まで発見した隠れ家の連中は全員が技術職と言うわけか……】


【私も部長と同意見です。侵略した結果、現物は大量に残っていたと思われます。おそらくそれを調査し、模倣して同じ品物は作れるのでしょう。そこからさらに発展があったかどうかは微妙です。資料としての価値はそこまで無いかと思われます】


「それじゃ技術資料は研究開発部に直行だな、全部。アリエーネ提督、金属材と武器とそこのアクセサリー関係は送るよ。現金と工事用の道具はこちらに残してほしい」


【ウンウン、良いわよ。他の皆は日記や記録なんかをもうちょっと調べてちょうだい。テルテル、他の部屋に行くわよ】


 宝石類込みで約35トンを得た提督は、非常に機嫌良くテルテルを(うなが)した。 






 テルテルたちは残りの部屋を一つずつ覗いて見ることにした。

 寝室は生活の品以外何も無かった。書斎は調査中で、台所は調理炉以外は見るべき物が無いが調理炉自体は3台もあった。


 テルテルにとって本日一番の大当たりは、例の最も大きい部屋だった。間取りとしては、彼がこの世界で最初に居た天井が崩落していた部屋と同じである。


 ここにはケコンスティアーノ邸と同じく、天井に届く高さの搬入口があった。約5mと少々の高さのあるスライド扉は横幅も同じ程度あった。

 広さは約10m✕15mでこれも同程度である。閑散として何も無さそうなそこに、テルテルにとってはまことにありがたい物体が整列していた。


「ツボニハイルだ。懐かしいな。全部が1型だよ!」


【テルテルったら、やたらとマニアックな歓声なのね。それにしても5体か。コアも入ってるみたいだし、うちで3型に改造する?】


「お願いします、提督! こいつらが居ればかなり助かる。ツボニハイルが25体なら穴堀りをやるにしても楽かな」


【アプデスタです。取りあえず転送魔方陣をこっちにも作ってしまいましょう。艦隊だけでは無く、隠れ家の間で物資のやり取りが可能です。ちなみに邸宅間の近距離転移でしたら、テルテルさん自身が移動することも可能です】


 テルテルとしては大いに助かる話だった。デレッダ邸については、子供たちも出入りするようになったので魔方陣を設置出来ない。しかしケコンスティアーノ邸に極めて近いため、両方の隠れ家を(へだ)てる道の下にさらに地下道を掘って繋げることにした。貯蔵庫どうしを繋ぐなら出来そうだった。


 転移魔方陣は階下の魔方陣を分解し、大きい部屋に艦隊仕様で作り直した。他と同じくセメントで補強したが、硬化については待つしかない。






 結局、物資については無理やり艦隊に送った。直径5mの魔方陣には湿らせた土を敷いて、線の上を避けるように送付物を置いたのだ。


 金属資源と宝石類と武器類が合計35トン、ウォーガシャーゲが20トン送ってあったので、今月は現時点で約55トンの質量を艦隊に納めていることになる。

 テルテルはヨッシャーたちの武器と防具程度なら頼んでも聞いてもらえそうだとホッとした。


 現金については貯蔵庫の床下に埋めることにした。今後の探索活動の助けになってくれることは間違いない。


 モッティーキマスタ邸の出入り口は、マスターキーでも開かないように設定が変更された。これで出入り可能なのはテルテルだけである。書斎に例の卓上端末があったので、この辺の操作は手慣れたものだった。


 ツボニハイルはその日のうちに3型になって、使用装備と共に送られてきた。

 気を利かせた資源管理部のステラレネイ部長の(はか)らいによって、テルテルにとってはありがたいことにヨッシャーたちに渡すための武器と防具まで送られてきた。


 テルテルたちは転送魔方陣の邸宅間移動を試してみたのだが、これも特に負担にもならずスムーズに移動することが可能であった。資源の送付についてもかなり楽になるに違いないと思われた。






「今日は本当に助かったよ。これで何とかダトールを探すのに本腰を入れられそうだ」


【それについて続報があります。モッティーキマスタ氏の日記の内容なのですが、中々に面白い事実が判明しました】


「アプデスタ参謀、もう日記の内容の確認を始めてたのか。しかし、ここの連中もマメだよ。日記とか書いてるあたりは」


【地下に隠れて暮らすわけですから、普段とは違うことを始めたくなるのかもしれません。モッティーキマスタ氏の場合は宝探しも行っていました。そして『河賊の隠し財宝』を見つけ、反攻ゲリラの資金源にしたわけです】


「それぞれの隠れ家にあった金の出所はそれか……今でも探してる連中が気の毒になる話だ」


【そして彼はその後も、この都市の下を流れるニコンデル河周辺を探索しました。彼はダトールを発見した可能性があります】


「! 掘り出したのか?」


【それが日記はそこで終わりでした。彼はツボニハイル10体を連れてダトールの回収に行き、どうやら帰って来なかった可能性が高いです】


 テルテルはホッとしたが、同時に「もったいないことを」と思ってしまった。ツボニハイル10体の消失は痛い。


 隠れ家の現金その他が手付かずだった点も含めて、モッティーキマスタ氏が別の場所で亡くなったのは確定だろう。


「彼が亡くなった理由はなんだろう? 参謀は見当をつけているのか?」


【日記の記述からですが「巨人を見つけた オーデンの元」という箇所がありました。オーデンはニコンデル河の主です。水龍オーデン……】


 テルテルにしてみれば「それは聞いてない」と言いたくなる情報だった。『水龍オーデン』なる存在がどれ程の者か知らないが、一筋縄で行きそうに無い相手ではないだろうか。

 気の毒なソコディヒィとツボニハイルたちを始末したのはおそらくそいつだろう。


 そしてダトールを機能停止に追い込んだ者もまたオーデンではないかと思われた。


「参謀、大幅な戦力のアップが必要になりそうだ。ここで最初にアーキバディ部長やジューネイヴ会長に出てこられるのは上手くない。俺が先鋒として当たる必要がある」


【それについては私から司令部に伝えておきます。テルテルさん、頑張って下さいとしか今のところは言えませんが、また結果を出してくださることを期待しています】


 テルテルとしては都市機能に甚大な障害が発生する可能性や、新しい伝説が出来てしまいそうな事について無視出来なかった。


 その後に艦隊司令部から届いた通信であるが、研究開発部からは「オーデンの遺体は回収して送れ」だったし、強襲偵察部からは「この際だから是非呼べ」だったし、強襲揚陸部のミニーク部長からは何故か「危険生物の観察をしたいから遊びに行っても良いかな?」であった……。









★ソコディヒィ・ロイマシティ・モッティーキマスタ

デカケティやソイッツァー、カテーナの同志で極端な秘密主義。彼は自身の隠れ家でさえも同志に教えなかった。生活用魔法道具の製作技術者。河賊の隠し財宝を発見し、反攻ゲリラを資金面でも支援していた。実はダトールを発見したが、掘り出せないままにこの世を去る。彼の日記はテルテルの手に渡る。




活動期間:約6ヶ月


収集資源量:約547トン


     ≪テルテルの所持アイテム≫


●ケコンスティアーノ邸内


片手剣:10 丸盾:10 クロスボウ:10

太矢(ボルト):200 刺突短剣:10


ツボニハイル3型:10


調理用炉:1 ランタン:10 麻痺毒:40L


転移魔方陣:1(+デレッダ邸から予備部品1)


書籍:日記と技術関連多数 


製錬済み金属:一時保管  



●デレッダ邸内


片手剣:16 丸盾:16 クロスボウ:16

太矢(ボルト):260 刺突短剣:16



板台車(耐荷重4トン):6


工具類と薬品調合道具  土と肥料:薬草栽培用


傷薬:3600包(900㎏) 


太陽灯:6 麻痺毒の解毒剤:50L


金貨:991枚  麻痺毒:9L ランタン:16


塩の塊:約20㎏ 蒸留酒:50L


食料品:お茶(10㎏)、カニと野菜、パン


セメントや靴・解体用ナイフなど少量の道具



●モッティーキマスタ邸


調理用炉:3 ランタン:9 転移魔方陣:1


セメント、ツルハシやスコップなどの工事用道具


金貨:1628枚 銀貨:3455枚




      ≪稼働中のゴーレム≫


デカケティ3型:1


ツボニハイル3型:15 


コアと青モチキン:10


※各邸宅に完全に固定された高温炉:3(1軒に1基)と照明器具:39(1軒に13灯)は除外してあります。


※神殿に寄進、または艦隊に発送した場合は無くなっていきます。


※今回はドラゴンボール命名法を採用し、舞台となる都市に生息する生物・近隣の自然物等は全て『おでん』関連になります。

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