新任講師、姉の足跡4
「名も無き庭園は、鏡の湖、舞雪の山、精霊の泉から行けるんだけど、精霊の泉以外からはちょっと行きにくいんだ」
「ごたくはいい、さっさと案内してくれ」
シェルを急かすヴァン。
「うわさに聞いた伝説の地域を訪れる機会ができるなんて、アズラさんに感謝しないとですね」
普通に喜ぶファル。
「夢にまで見たアズラ様と…デート…」
何か間違った考えをして、ふらふらっとするマリィ。
「未開の地で宝探し…燃えて来たー!」
相変わらずの冒険野郎のヴェク。
「ちょっと待って、四人とも普通についてくるの!?」
「「「「もちろん(だ)(です)」」」」
「いいじゃないですか。賑やかな方が楽しいですし」
「だ、そうだ。じゃあさっさと連れて行け」
一応相手は年上で、教師という対等な立場だが、かなり横柄なヴァン。
「わかったわかった。とりあえず精霊の泉にみんなで移動するから。ヴァン先生、ファル先生、手伝ってくれます?」
「あぁ」
「はい」
ほぼ同時に返事をする二人。
「じゃあ俺はアズラくんを送るから、残りの二人は任せたよ」
そう言うとアズラを巻き込み空間干渉を行うシェル。
ヴァンとファルもヴェクとマリィを連れて移動した…。
「おっとしまった、集合場所を言ってなかった」
一番早くに到着したシェルたち。本人は集合場所は泉の前にする予定だったようだ。
「どうするんですか?」
「…あぁ、たぶん大丈夫だ」
そう言ってまもなく、残りの四人も現れた。
「シェル先生、目標地点くらい言ってから移動してくださいな」
「すまない。だが来れたね?魔力でも辿ったかい?」
「あぁ。しかしさすがは専門家。残っていた魔力がずいぶん微弱で、辿るのも大変だったぞ?」
「本当にすまない。…まぁ無事に揃った訳だし、行こうか?」
「はい、お願いします」
「そういえば先生」
道中、アズラがシェルに話しかける。
「なんだい?」
「先生と姉さんはどんな関係だったのですか?」
「うーん…と、まぁ一緒に授業を受けたりする友人かな?でもレイカは凄かったよ。ものすごい人気者で、普段一緒にいる事すら難しかったんだ」
「魔術の腕前は?」
「それもバツグン。なんたって独学で天界術を習得したしね。…『事故』さえなければ首席は確定していたんだけど…」
「先生、『事故』って何があったのですか?」
「…学園長にも言われたと思うけど、まだ教えられない。夏…といっても秋直前に学園長が教えてくれるよ」
「わかりました…」
「そんな顔しないで。ほら、もうすぐ着くよ」
確かに目の前には色とりどりの花が咲いている。
「よし、着いた!みんな、ここが『名も無き庭園』だ…よ…」
そこにあったのは確かに綺麗なパノラマだったが、そのパノラマにあるべきでない存在がいる。
「…知られていない事が完全にマイナスになったか…。悪い、みんな!あいつらの掃除、手伝ってほしい!」
大量の魔物。生徒が来ないため、住み着いたのだろう。
「もちろん、やってやるさ!行くよ、みんな!」
「あぁ!」
「はい!」
「もちろん!」
「うん!」
―思い出を、守る戦いが始まった―




