第七章章末イベント〜学園襲撃、レムの真実と封印解放1
「さてと…久しぶりだな…ここも…」
場所は始まりの草原。そこに立つ一人の男性。
基本、学生でない人物で、学園に入れるのは、教師と卒業生のみである。
この男は教師ではない。故にこの学園の卒業生ということになる。
「さて…行くか…」
男が歩きだした…。
「あら…お客さんですね…」
「誰ですか?教頭先生」
「少し…待ってくださいね…。ふむ…七年前の卒業生のギースですね」
「ギースくんですか…」
「はい、確か入学時点では凄まじい才能を見せましたが、卒業の時には普通の魔術師になってしまった子です…。日ごろの努力を怠らず、きちんと訓練していれば、一流の魔術師になれただろうに…、残念です」
「アズラ〜、こんなものでいい〜?」
少し遠くにいるアズラを呼ぶカティ。大声で叫んでいるのでサクヤみたいなイントネーションになっている。
「うん〜、十分じゃない〜?」
手に大量の薬草を持ったアズラが返事をする。
「んじゃ、帰るか!」
薬の材料を持ってヴァンの小屋に向かう。
「あぁ、これだけあれば十分だな。悪いな、パシリみたいな事をして」
「いえ、もともと私の弟妹のためですから。礼を言うのはこっちですよ」
「じゃあな。気をつけて帰れよ。冬休みとはいえ、危険はいつも通りだからな」
「うん、バイバイ、ヴァン」
小屋を後にして、学園に戻る三人。
「ギース、どうしました?」
「教頭先生、お久しぶりです。少し、学園に用事がありまして参上しました」
「なんのご用ですか?」
「たいした事ではないんです。
ただ、この学園を落とそうと思いまして!」
そう言うと、学園全域に不思議な模様の魔法陣が浮かびあがる。
「強制転送の魔法陣!?あなたいったい何を!?」
「言ったでしょう?『学園を落とす』と。その下準備です」
邪悪な笑みを浮かべながら、宣言するギース。
次の瞬間――学園には人っ子一人、いなくなった――。
「これで第一段階は完了、と。次は…」
「もうすぐ学園だね」
「えぇ、早く帰りましょ」
他愛もない話をしながら歩く三人。
「お、学園だ」
「…召集の妨害!…これで後は目的を果たす…?」
「おい!アンタなにやってる!」
ギースが振り向くと、そこにはアズラ、テムダ、カティの姿があった。
「少し手間取り過ぎたか…まぁいい、殺れば、いいだけだ」
「変なことしたら、先生が来るわよ!」
「残念だが、今学園にはお前たちしかいない。さらに中と外も遮断させてもらった。おれは、目的を…復讐を果たすんだよ!」
―学園を賭けた戦いが、始まった―