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卑怯者と怒れる女神

「ったく!あの魔術祭はなんだ!このオレが失格だと!?ふざけるな!」


「ま、まぁ兄貴、落ち着いて…」


「そもそもお前たちがもっと上手く煽れば…ちくしょう!」


近くにあった木を思いきり殴る男。本来なら拳が痛む、最悪骨折だが、強化術でもかけてあるのか、木が真っ二つに折れた。


「あぁーもう、手当たり次第に破壊してやる!《トルネイド!》」


辺り一面の木を薙払う竜巻。十本ほどの木をズタズタにしたところで…


「《風よ、我が導きに応え、散れ》…なんだ?大自然にやつあたりか?」


「ちっ…ヴァンか…ちょうどいい、お前には復讐の一つでもしておかなきゃ気が済まねぇ…」


「それは復讐ではなく、逆恨みでしょう?バルトさん」


「うるせぇ!お前らはこれでも食らってろ!」


そう言って数本のナイフを投げるバルト。


「甘いな」

「甘いですわ」


軽くかわしてバルトとメゾら不良に近づく二人。

しかし…


「かかったな!魔力喪失の魔法陣だ!」


接近する二人の足元に怪しげな魔法陣が浮かぶ。


「ちっ…はめられたか…」


「はっははっ、残念だったな!《バーン!》」


勝ち誇った笑いと共に、動けない二人に魔術を放つバルト。


「《ハイ・シルド!》…大丈夫!?」


直撃する寸前、盾が現れる。盾は炎を受け止め、二人を守る。


「小僧…貴様か…お前もまとめてやってやる!行け!野郎ども!」


バルトの号令で後ろに控えていた不良が一斉に襲いかかる。


「《ライトニング!》《トルネイド!》」


簡易術式で対応するアズラ。襲いくる不良どもを牽制する。


「《アースクエイク!》」


バルトが魔術で地震を起こす。


「うわっ!」


地割れには巻き込まれなかったが、揺れで転んでしまった。


「残念だったな!小僧!」


アズラの横にバルトが立っていた。


「《シル…「おせぇよ!おらっ!」がぁっ!」


強化術をかけた拳でアズラを殴る。防御魔術が間に合わなかったアズラは吹き飛び、木に叩きつけられる。


「ぐうっ…」


プロテクターのおかげで外傷はない。ただ、魔力をほぼすべて失ってしまった。


「今度こそオレの勝ちだ!」


バルトの言葉は正しい。三人は魔力を失い、完全に行動不能だ。


「ほらっ!とどめだ!《ヘルフレイム!》」


地獄の業火が三人に向かう…。


そのとき!




「《水の守りよ…》まったく、思いきり暴れてくれますね…」


炎が消えても、三人の姿はそこにあった。さらに女性の姿が一人――地域を守る精霊、エリアスだ。


「悪いエリアス…油断した…」


「大丈夫よ。私が来たから。さて…あなたたち、覚悟はいい…?」


そう言うとエリアスのまわりに霧が立ち込めた…。




その霧が晴れると、そこに美しい女性の姿はなく、代わりに水色の一角獣――ユニコーンの姿があった――。


「ほらヴァン、あなたの力なら戦えるでしょ!まわりの木たちを使っていいから、手伝って!」


「…すまない。自然の吸収ネイチャー・アブソーブ!」


ヴァンが手を掲げて宣言すると、まわりの木から光が生み出され、手のひらに集まる。


「じゃあ二人は休んでて、《ウォータ!》」


エリアスが水を放つ。ただ、レベルとしてはスプラッシュと同等か、それ以上のレベルの魔術だ。


「ぐわっ!」


バルトを筆頭に、すべての不良が水に吹き飛ばされる。

その濡れた状態に…。


「《テンペスト!》」


「「「ギャアーッ!!!」」」


電撃が走る。

当然、耐えられるわけもなく、全員緊急帰還となった…。




「ほら、二人とも水飲んで。…これで魔力は回復するはずよ」


戦闘終了後、エリアスが持ってきていた水を飲む二人。完全回復、とはいかないが、動ける程度までは回復した。


「…かわいそうに…。ヴァン…お願いできる…?」


「構わないさ」


そう言うとティルヴィングを具現化させるヴァン。


「幸運の剣よ、我が願いを叶えよ!《癒せ!》」


辺り一面に、優しい風が吹く。その風は木々を優しく撫で、癒す。


「これでしばらくすれば治るだろう。では、行こうか」


泉に戻る四人。




「エリアスさん、さっきの姿はなんだったんですか?」


「あれが私の本当の姿。普通の精霊の姿は一つ、契約すればアクセサリーにもなれるけど、それ以外は無理ね。ただ、各属性一人ずついる上級精霊は、本当の姿以外に、人型、アクセサリー、それと小動物型の四種類になれるの。私は、アクセサリーと小動物にはなる必要がないから、なくても困らないけど」


クスクス笑いながら説明するエリアス。


「それよりヴァン、どうしてあなたは魔術祭の時、自然の吸収を使わなかったのですか?あなたなら3分の1でも魔力があれば、アズラさんに負ける事などなかったのに」


「あぁ…それはな、少し運が悪くて、お前を倒した直後に、星2地域が侵入禁止地域になってしまって、それをするまでもなく、学園に移動してしまったんだ。で、学園では常に狙われ続けたからできなかったんだ」


「それは…ついてないですね…」


「まったくだ。…そろそろ帰るか。エリアス、水をくれ」


「はいはい、どうぞ」


「ありがとう、エリアス」


「じゃあまた遊びに来てね。特にアズラくん、待ってるわよ」


「まったく…いい年して何言ってるんだか…」


「いつまでも心は乙女よ。ヴァンちゃんにも見習って欲しいわ」


「帰るぞ!」


「わかりましたよ、ヴァン。ではエリアス、また」


「またね〜♪」

今日で第七章通常編は終わりです。

次回より章末イベント。学園を訪れる男、果たして敵か味方か!?

お楽しみに。

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