泉の女神≠金の斧、銀の斧
「ふぅ、この辺でいいですか?」
「あぁ、十分だ」
「………」
三人は次元の裂目を通って、一気に精霊の泉に到着した。
「どうかしました?アズラさん」
「えっと、前にこの学園内では、原則空間干渉で地域外への移動はできないと聞いたのですが…?」
「確かにそうだ。特例が与えられているのは、教師とわたしくらいだな」
「じゃあ何でファルさんは…?」
「簡単な事です。わたくしが使ったのは空間干渉ではありません」
「?」
「わたくしの刀、『次元』の能力です。空間を切り裂く事で、異次元への通路を開く事ができるのです」
「そうなんですか」
「ちなみにわたしの剣は『ティルヴィング』といってな、魔力を犠牲に高い効果の魔術を使う事のできる能力がある」
「そんな武器はどこにあるんですか?」
「学園の宝物庫だよ。わたしが一年の時にいろいろ見つけてきた」
「ヴェクさんやマリィさんの物も、ヴァンが見つけてきたものですわ」
「まぁ、君は自分で探せ。ほら、泉が見えてきたぞ」
たどり着いた泉は、鏡の湖など比べ物にならないほど美しい泉だった。
「エリアス、いるか?」
「どうしたの?ヴァンちゃん」
泉から現れたのは、童話とかに出てくる女神を思わせる女性だった。
「何度も言うが、ちゃんはやめてくれ…」
「うふふ、もう癖で治らないの。ごめんね、ヴァンちゃん」
「はぁ…」
「それよりエリアス、水を分けてもらえませんか?」
「いつもの水?いいわよ。…あら、その子は?」
「こいつはアズラといってな。まぁ…弟子みたいなものだ」
「恋人って訳じゃないのね?」
「えっ…えぇっ!?」
「違うさ。なぁファル」
「えぇ、先約があるみたいですし」
「そうなの?じゃあ…私なんかどう…?」
「え、えっと…」
「エリアス、さっき言ったでしょう?先約があると」
「惑わせて、奪えば勝ちよ?私にはそれができる美しさがあるからね」
「馬鹿言ってないで、いい加減自己紹介をしたらどうだ?」
「相変わらず固いわね。アズラくん、私はフィルナ=エリアス。ここの泉と契約している精霊よ」
「泉と契約って、そんな事できるの?」
「普通の精霊には難しいが、エリアスは上級精霊だからな。ちなみに上級かどうかは名前の=で判断できる」
「上級精霊は魔力の燃費がいいので、少ない魔力でもちゃんと活動できるのです。ここの泉には豊富な魔力がありますし」
「そういう事よ。わかった?アズラくん」
「はい、わかりましたエリアスさん」
「うんうん、賢い子は好きよ。で…水だったわね…はい…?」
どうぞ、と言おうとして黙りこむエリアス。
「どうした?」
「…心ない人が来たわ。相手、お願いできる?」
「任せておいてください。いきますよ、二人とも」
「あぁ」
「はい!」
急いで読んだ人は新しいキャラの名前を読み間違えているかもしれません。
エリアスです。某有名RPGVIIのヒロインの名前とは違います。