医療機関ではお静かに…常識ですけど
「アズラ様ぁっ!」
「兄貴っ!」
ヴァンのところに修業に行っていたはずのヴェクとマリィが、病院室に駆け込んできた。
「病院室ではお静かにお願いしますね」
優しい笑顔で注意する保健医。
「あ…ごめんなさい…」
「うぅ…すみません…」
「はい、よろしい」
「で、結局僕は…」
不慮の乱入で診察の結果を聞けていないアズラが話を戻す。
「あぁ、そうね。んーっと、異世術の授業でそうなったのよね?先生も言ってたかもしれないけど、時々そんな人、いるのよ。大抵はちょっとあの世に近づき過ぎただけで…まぁちょっと危ないけど、大した危険はないわ」
「そうでしたか、ありがとうございました」
病院室を出ようとするアズラ。
「アズラ!」
「おい聞け!」
今度はカティとテムダが駆け込んでくる。
「…病院室ではお静かにお願いします…」
再び笑顔で言う保健医。しかしさっきと違って、少し目が笑っていない。
「で、アズラ、大変なのよ」
「なに?」
「エンカが異世術を成功させやがった!」
「ふーん…って、えぇーっ!!」
「その子、二年生?」
保健医が会話に参加する。
「はい、二年生です」
「へぇ…珍しいわね。この時期に上級魔術が解禁されるといっても、9割超は習得できないのよ。それと、病院室ではお静かにね」
「そうなんですか?そういえば、なんでヴェクとマリィがここにいるの?今日修業の日でしょ?」
「あ、うん、アズラ様が病院室に行った予感がしたから、抜け出してきたの」
「いや、何かおかしいだろそれ」
具体的に言うとあの二人を撒いた事と、テレパシー的な感覚の事だ。
「そういう事だよ」
話もまとまり、病院室を出ようとする五人。
「おい弟子ども!」
「何で逃げたのですか?」
ヴァンとファルも入ってくる。
「え、それはそ――「貴方たち、いい加減に出ていきなさーい!」」
「「「「「「「ごめんなさーい!」」」」」」」




