魔術祭!学園バトルロイアル!?5
「わたくしたちの弟子といっても、さすがに無理がありましたね?」
「まぁ、そこそこの腕前はあったな?」
「えぇ…、では邪魔者もいなくなりましたし、そろそろ始めましょうか?」
「のぞむところだ。300勝目、いただくぞ?」
「ルールはわたくしに絶対有利です。負けるわけには、いきません」
「言ったな?絶対に勝ってやる」
「では…参ります!」
魔法武具の刀を具現化し、戦闘体勢に入るファル。
「―一瞬です―」
フッ、と消えるファル。
次の瞬間、ヴァンの背後に現れる。
「ちっ…速いな…」
回避するヴァン。
ヴァンを狙って振るった刀が再び空間を切り裂き、ファルはその中に消えていた。
「フッ!」
現れては消え、消えては現れを繰り返すファル。
「…そこだっ!」
一点に向かってナイフを投げるヴァン。
「!?」
空中で旋回し、出てきた異次元に再び戻るファル。
ヴァンの少し遠くに現れ、攻撃の手を止める。
「さすがですね…わたくしの出現位置を読みましたか?」
「まぁな。魔力の流れでそのくらいわかる。さっきのは空間干渉だったからな」
「それは失敗でしたね…。次からは気をつけましょう」
そう言うと再び空間を切り裂くファル。
「残念だが、次などない!」
ヴァンも魔法武具の大剣を持つ。
「え!?」
「幸運の剣よ、我が魔力と引き替えに、望みを叶えよ!《空間掌握!》」
「きゃあっ!」
バチィン!と音が響き、異次元に入ろうとしていたファルが弾き出される。
「ルール上、奇襲は厄介だからな。封じさせてもらった」
「本気ですね…ティルヴィングまで使うとは…」
「言っただろう?絶対に勝つと」
「仕方ありませんね…こちらも、奥義、見せましょうか…。漆黒の闇、幻の影、現れなさい、ゲンガー!幻影の投影、開始(ミラージュ・トレース、オン)!」
ファルの分身が二体、現れる。
「魅せましょう…刹那の舞、『三瞬、舞踊』!」
ファルの宣言を合図に、二体の分身が左右に散る。本体も大きく後退し、その後一気に踏み込んでくる。
「ちっ…望みを叶えよ!《クイック!》」
第一撃の直前、ヴァンが魔術を使う。次の瞬間、ヴァンのいた場所に刀が閃く。避けても、次、また次、三人のファルによるまさしく舞うかの様な連続攻撃がヴァンを襲う!
「危なかったか…だが判断は、正しかったな!」
のらりくらりと…といっても凄まじい速さだが…かわしていたヴァンが急に動きを変える。
大剣で一体、二体とファルを叩き斬る。
「ちっ…ハズレか…」
「やあっ!」
ファルの刀を剣で止めるヴァン。俗にいう、つばぜり合いの状態だ。
ガァン!という音がした。
ファルの刀が吹き飛んだのだ。
「さすがは有名な『ティルヴィング』…無名の『次元』では無理がありましたか…」
刀を失ったファル。刀は遠くの木に刺さっている。
「まぁ、魔力の大多数を失ったあなたになら、まだ勝ち目はあります」
魔術の構えをとるファル。
「なんだ?まさかわたしが何の考えもなしに願いを叶えていたと思っているのか?」
「…まさか!?」
「さて、そろそろ頃合いか…十分に溜めたな、《カオス!》」
「ここまで逃げれば…大丈夫かな…?」
学びの木までなんとか逃げてきたアズラ。
「あら、無事だったの?アズラ」
頭の上から聞き慣れた声がする。
「カティ!」
「はぁい、待ってたわ」
木の上から降りるカティ。
「え…?待ってたって、どういうこと…?」
「当然、こういうことよ」
次の瞬間、アズラの横わずか数ミリの場所を矢が通る。
「まさか…?」
「えぇ、そのまさかよ。…構えなさい、あなたとは一度、真剣に勝負してみたかったの」
―アズラVSカティが始まる―
やっぱり仲間同士の戦闘はドキドキしますね!え、私だけ!?
普通のRPGとかじゃやってくれないんですもん。