魔術祭!学園バトルロイアル!?4
「…やっぱりここか…」
転送される直前、思い浮かべたのがヴァンとファル。
その二人といえばやはり輝きの森、無意識に想像していたのだろう。
「ま、人が少ないのは好都合だけどね」
パッと見では周囲に人はいない。一撃貰えば終了である以上、不要な戦闘は避けたいところだ。
人の気配を感じないため、のんびり歩いているアズラ。
しかし…
「っ!!!」
強力な魔力の反応が二つ、とても近くに感じられた。直前まで気付かなかったところから考えると、魔力を隠していたのだろう。
草影から様子を伺うと…?
「ギャアッ!」
「グワァッ!」
二人の生徒が失格になっていた。
対する相手は…?
「…しめて三十人ですか…」
「割合から考えるとこれで十分か…?…いや、あと一人だな…」
そう言うとアズラの隠れる茂みにナイフを投げるヴァン。
「!?」
すんでのところで茂みから飛び出し、ナイフを避けるアズラ。
「なんだ…アズラか…」
「ヴァン、ファルさん!」
「なあに?」
「!?」
空中で無理矢理体勢を立て直す。いつの間にか背後にまわっていたファルの刀は空を切った。
「いったいどうして…?」
「もともと、全員敵のはずだが?それに残念だが、わたしたちにはやりたい事がある」
「そのためには、付近に人がいると都合が悪いのです。…知り合いであろうが、なかろうが」
必要な話だけをして、再び襲い来る二人。少なくとも二人には目的があり、達成までは手を組むつもりのようだ。
「《バーン!》」
「くっ…」
「それっ!」
「《ハイ・シルド!》」
「やれ、《ドラコ!》」
「《スプラッシュ!》」
「空間歪曲…避けられますか?」
「うわっ!」
なんとか二人の猛攻を避け続けるアズラ。
しかし…
「終わりだ」
回避にも限界がある。ヴァンが剣を振りあげる。
「兄貴っ!危ない!」
ガゴッ!と鈍い音がする。
寸前でヴェクが割り込んだのだ。
「流石はアイギス…本気の一撃をいれなかったのは失敗だったか…」
「この盾くれたのは師匠だぜ?後悔しないでよ!」
剣と盾の衝突を弾いて終了するヴェク。
その瞬間、短剣が一本、ヴァンに向かって飛んだ。
「危ないですね…。マリィさん、出ていらっしゃい!」
ヴァンに向かって飛ぶ短剣を、打ち落としたファルが叫ぶ。
「ばれましたか…」
アズラの前に立つマリィ。
「アズラ様、ここはマリィたちに任せて逃げてください!」
「え!?」
「オレたちは兄貴に優勝してほしいんだよ!」
「二人とも、かなわないとわかって、わたしたちに立ち向かうのか?」
「ルールがルールだからな。勝つことも不可能じゃないぜ?」
「まぁアズラさんを逃がす時間稼ぎにはなるでしょうね」
「十分です!…アズラ様、早く!」
「…わかった…ありがとう、二人とも!」
走り出すアズラ。
「逃がしたか…。まぁいい…わたしたちは目的を果たすまで」
「師弟対決と、いきましょうか?」
「のぞむところだ!」
「アズラ様、ご武運を…」
―師弟対決、開始―
最後に、師弟対決、開始と書きましたが、次話はそれが終わった状況から始まります。
楽しみにした方(そんな大作でもないのでいないと思いますが)ごめんなさい。