表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/174

赤くてぷにぷに、そして火を吹く、な〜んだ?

「いつ見ても不気味なとこだね…?」


「うぅ…怖いです…」


アズラにすり寄るマリィ。


「っくぅ〜っ…」


なぜかカタカタ震えているヴェク。


「どうしたの…ヴェク…?」


「兄貴は興奮しねぇのか!?血塗られた古びた洋館!そこで起こる数々の事件!それを颯爽と解決する名探偵!冒険だ〜!サスペンスだ〜!」


扉を開いてさっさと中に入ってしまったヴェク。

その直後…


「うおぁーっ!!!」


ヴェクの絶叫が木霊した…。


「アズラ様!」


「わかってる!ヴェク、大丈夫!?」


二人も舘に入る。




「あちぃ、あちぃ、あちぃーっ!!!」


舘の中にはおしりに火をつけられて走りまわっているヴェクと…


「………(プルプルプル)」


なんか赤いスライム状の物体がうじゃうじゃいた…。


「レッドゲル!?しかもこんなに大量に!?」


「とりあえずお兄ちゃんを助けないと!《ウォータ!》」


水の玉が一つ、ヴェクに向かって飛ぶ。直撃して火も消えたのだが…?


「ぐぼはっ!」


「あっ…ごめん、お兄ちゃん…」


水圧が強かったのか、壁に叩きつけられたヴェク。自業自得と言えばそれまでだが…。


「《スプラッシュ》…マリィ、もう少し加減しようね…」


「はいぃ…アズラ様ぁ…」


うるうるとした瞳でアズラを見つめるマリィ。一般的な思春期男子が見れば卒倒しそうな表情だが…?


「とりあえず、こいつら倒そう」


まったくもって効果がないみたいだ…。


「ううう…兄貴、水が効くのか…?」


「うん、水が効くけど…、大丈夫?」


「大丈夫…師匠にしっかり鍛えてもらってるから…」


そう言うと《キインッ》という音を立てて錬金術を行うヴェク。造り上げたのは流れる水の刀身を持つ美しい刀だ。


「よっ、はっ、たあっ!」


レッドゲルをばっさばっさと斬っていくヴェク。数がどんどん減っていく。


「ギシャアアァ!」


「リザード!?こんなとこに!?」


迷いこんだのか、リザードが一匹混ざっていた。


「マリィにおまかせください!」


左手の中指と薬指に8の字型の指輪をしていたマリィ。その指輪の片方の輪が消えて、右手に一本の剣が現れた。


「やぁっ!」


「えっ!?」


なんの躊躇いもなく、剣を投げるマリィ。普通、魔法武具はなくすと戻ってこない。アズラが驚くのも当然だ。


ヒョイッと剣を避けるリザード。そして、無手になったマリィを狙って走りだす。


「甘いですよっ!」


もう片方の輪が剣になると同時に、投げた剣がくるりと方向を変えて戻ってきた。

背に剣が突き刺さると同時に、正面から叩き斬るマリィ。


「すごい…」


二人の成長ぶりに感心するアズラ。

結局、地域一帯の魔物が全滅するのに、大した時間は要しなかった…。




「その指輪、どうしたの?」


帰り道、アズラが聞く。


「これですか?ヴァン先輩に貰いました」


「そうなんだ…。ヴェクも何か貰ったの?」


「うん、一応な。また今度見せるよ」


「うん…それにしても、二人とも、一気に強くなったよね…。やっぱりヴァンさんとファルさんのおかげ?」


「はい!アズラ様といっしょに戦いたいと思ってがんばりました!」


「もっと強くなったら、いっしょに採取とか行ってよ!」


「うん、約束するよ」


「では魔術祭の朝、起こしに行きますので、いっしょにまわりましょうね!」


そう言って寮に駆けていくマリィ。


「え、あ、ちょっと!来なくていいって!」


「諦めな、兄貴。さ、寮に戻ろうぜ」


アズラの苦労は続く…。

次回より章末イベント。今回は三年生の知り合いがいるので二本立てです。

波乱の魔術祭、開幕です!

お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ