超ドタバタの調薬の試練
「あらあら…薬できたの?ふーん…、なるほどねぇ…。あの子たちもまだ健在みたいだし、ちょうど逆になるように入れてあげるわ。…覚悟はいいわね…?」
少し前、学園の実験場―
「絶対ミスるなよ…間違いなくあいつ、俺に飲ませようとするからな…」
いつもはとても大雑把なテムダが異常に神経質になっている。
体育会系の男の手が、プルプル震えているのは見ていて非常に面白い。
「大丈夫だよ。本の通りに作ってるし、材料も揃ってるんだから。…あ、サクヤ、その草取って」
「これ〜?はい〜」
実験場備えつけの、自由に使える材料を持って鍋に向かうサクヤ。
「ん…?あ、それじゃない、あっちのだよ」
「あ、そうなの〜?って、わわっ!」
転んで手に持った草を放り投げてしまったサクヤ。その草の行く先はもちろん…?
「うおっ!《ハイ・シルド!》…ふぅ…危ねぇ危ねぇ…」
間一髪テムダがハイ・シルドで蓋をする。草は蓋の上に乗った。
「アズラ、サクヤ、今のは緩和草よ。入れても効果が若干弱まるだけよ」
「あ、そうなの?」
緩和草をどけようとするアズラが聞き返す。
「……うん…。…それより…この段階では絶対に蓋をしないようにって…書いてあるよ……?」
「「「「………」」」」
「ってまじか!?おいアズラ、早くそれどけろ!」
「あ、うん…うわ!熱っ!」
「もういい!ほりこんでも大丈夫なんだろ?盾解くぞ!?」
「あら…?あれ、健上草だわ。入れて逆転すると病気になるかも」
「うおっ!危ねぇ!おいアズラ!なんとかどけろ!」
「熱いから無理だよ…」
「……蓋してると危ないよ……」
「あぁー!めんどくせぇ!」
さて、無事薬はできたのだろうか…?
「はい、入れたわよ。じゃあ…テムダくん、どうぞ?」
満面の黒い笑顔でテムダに薬を勧めるミランダ。
「わかってはいたけど…なんで俺なんだよ…?」
「なんでって…一番頑丈そうだからよ。ほかの子は私のお気に入りだから、病気になんてなってほしくないしね」
「がんばれ!テムダ!」
「大丈夫!私たちを信じて!」
「……早く飲んで……」
「さぁグイっといこ〜!」
「あぁーもうわかったよ!」
一気に薬を飲み干すテムダ。
結果のほどは…?
「ん…?なんともねぇ…?」
「えぇ、あなたたちが提出したのは立派な毒薬よ。はい、完了のハンコ」
「ありがとうございます!」
「はい、お疲れさま。次もがんばってね〜♪」
「マジで…怖かったんたぞ…?」
「わかってるって。お疲れさま、テムダ」
「うん、よくがんばったと思うよ?お疲れさま」
「あ、もう寮の前だ。じゃあね〜♪」
「早く帰ろ。僕、お腹すいた」
「また今度ね〜」
「……じゃあ……」
さっさと帰ってしまった四人。
「なんか最近、俺の扱いひどくないか…?」
悩んでいた…。
「ぐはぁっ!」
「あらあら…また駄目な子…。結局ちゃんと提出できたのはあの子たちだけね…」
この日も病院室は大盛況だった…。
第六章の通常編は後二話。
章末イベントは秋休み恒例の魔術祭です。次回はそれの準備です。
お楽しみに。




