第六章、魔術祭の不確定因子(イレギュラー)
「あの二人のことは…いいですか?」
「はい、問題はありません。しかし、あなたがそんな話を申し出てくるとは思いませんでした」
「わたしはあれに参加できないので。その代わりみたいなものです」
「そうですか…何かあったのですか?」
「えぇ、面白い少年に出会いまして…。アズラ…学園長があの少年を気にかけるのもわかりました」
「はい、面白い少年でしょう?それと、次の休みは魔術祭ですが、参加…しないですよね…?」
「はい、目立つ行為は避けたいので」
「そうですか…、残念です」
その時、部屋の扉がノックされた。
「では、わたしはこれで」
「はい…。あ、どうぞ」
「学園長、アルバイトの報告に…って、ヴァンさん!?」
部屋に入ってきたのはアズラだった。
「なんだ…アズラか。ちょうどいい。君に報告がある」
「なんですか?」
「あのカティの下の二人だが、わたしが魔術を教えることになった」
「ええっ!?」
「あの二人には急いで成長してもらいたいので、ヴァンに任せようと思うのですが?」
「そういうことだ。カティと、二人に伝えておいてくれ。では、わたしは森に戻る」
立ち去ろうとするヴァン。
「そういえば、ヴァンさんは魔術祭に参加するんですか?」
「学園長と同じ事を聞くのだな…。学園長にも言ったが、目立つことは避けたい。参加するつもりは…」
「参加しましょうよ、ヴァンさん!」
「…ふぅ…、まぁ、そこまで言うなら出よう。ただ…年変わりのイベントは聞いたのか?」
「いえ、聞いていませんが…?」
「じゃあ楽しみにしておけ…。学園長!わたしも参加するとしよう。…あまり長居するとファルが心配する。いい加減に帰る」
空間干渉で消えるヴァン。
「今年のイベントにはヴァンが出るのですか…。頑張ってくださいよ?」
「えっと…もしかして優勝は難しいとか…?」
「当然ですね。ヴァンが参加するならファルも参加するでしょう。もともと参加するつもりの人の優勝確率は恐ろしく減りますが…。ルールを調整しましょうか…?
あ、アズラくん、ヴェクくんとマリィさんに連絡、お願いしますね」
「はい、わかりました」
学園長室を出るアズラ。
寮に戻ると…
「あ、報告できなかった…」
アルバイトの報告を、忘れていたのだった…。
この章の休みは魔術祭。それにヴァンとファルが参加…。果たしてアズラくんたちに勝ち目はあるのでしょうか…?