ネオとか真とかつけると誰でも簡単に覚醒したような気分になる謎
魔装具学2編、第二話です。
「堕ちた聖堂…ねえ…真っ暗な悪魔の巣窟ってところか?」
「うーん、半分正解ね。堕ちたっていうけど光は差し込むし、ちょっと手入れが入ってないけど、緑も多いきれいな場所よ。ただ、後半の悪魔の巣窟はアタリね。本当は聖なる十字架の加護を受けた場所だったらしいけど…」
「何かで壊れて悪魔の巣窟になった…と?」
「えぇ。幸い加護は少しだけ残ってるからそれが嫌いな上級悪魔はいないらしいわ」
「んじゃ余裕だな。行こうぜ」
堕ちた聖堂は優しき廃虚の北東にある。五人は優しき廃虚を歩いていた。
「《ウィンド!》」テムダの旋風がロックソルジャーをバラバラに切り刻む。
「《ウォータ》」エンカの水弾がロックソルジャーを再起不能にした。
「何か多いな…今日…」
「……うん…うっとうしい……」
二人がそう言うのにも頷ける。ざっと見積もって二十体ほどの石人形。振りきるにも行く手を完全に塞ぐ数で、進むには撃退しかない。
「《ウィンド!》」
「《ウォータ!》」
カティとサクヤがまた一体片付ける。
「どいて!みんな!《トルネイド!スプラッシュ!》」術式5の属性魔術で瞬時に全員壊すアズラ。きれいさっぱり、石人形を掃除した。
「すげえじゃねえかアズラ!」
「今の簡易術式よね?かなり難しいんじゃない?」
「うん、中級魔術が使えないなら、使える魔術を極めればいいとレムに言われてね。習える範囲で頑張ってみたんだ」
「……いいと思う……」
「うん〜、アズラかっこいいよ〜」
「ありがと、二人とも」
中級魔術が駄目なら上級も無理。最上級などもってのほかだ。魔術師として辛く厳しい道だが、それでも進み続けるアズラだった…。
「で、ここが堕ちた聖堂、と」
聖堂の前に立った瞬間、古びた青銅の鎧がガチャガチャと音を立てて走ってきた。手(?)には剣、斬る気満々だ。
「んじゃ俺の出番だな。行けっ!」テムダがそう言った瞬間、三本の槍が宙に浮き、鎧に向かって飛んだ。しかし槍は鎧に当たったが、見かけによらず堅い鎧を貫くことはできなかった。
「くっ、かてえな…」
衝撃を受けたことでターゲットをテムダに定めた鎧。テムダに向かって走るが…
「……甘い……」
鎧の足元に魔法陣が浮かぶ。強制停止の結界術だ。
「これで…終わりっ!」
カティの歌が終了する。バーンより遥かに大きい火の玉が鎧に向かい…
ブシュウウウウという音の後、鎧は跡形もなく消え去っていた。
「入って早々とは…えらく面白い地域じゃねぇか…」
「さすがに悪魔の巣窟ね…。気をつけて行きましょう」
五人は堕ちた聖堂に入ったのだった…。