アズラ、新たなる決意
五人が投影1の授業を受けた三日後、五人は再び同じ授業を受けることにしていた。その授業は術歌1、カティの希望だ。
「アズラ、調子はどう?」
「うん、今日は絶好調だよ」
「よかったじゃねぇか」
そして術歌1の授業を受ける五人だったが……
「あ、あの、とても言いにくいんですが…アズラさん、今回は、不合格です…」
外見年齢だとカティより幼い、少女?の術歌教師はそう言った。
「ほんとに大丈夫?一度病院室に行ってみたら?」
「そう…だね…」
「どうするんだ?また二日後に結界術1申請しちまったけど、やめるか?」
「いや、大丈夫だよ、今度はいけるって」
明るく振る舞うアズラ。だが無理をしてるのは明らかだ。
「アズラ…」
「じゃあね。明後日また会おうね」
で、二日後…
「………」
「「「「………」」」」
重苦しい空気が辺りを支配していた。おわかりの通り、アズラは結界術も駄目だったのだ。
「ま、まぁ、そんなに落ち込むなって。失敗なんて誰にでもあるって」
「そうだよ~。アタシなんてもう七回も不合格もらったよ~」
「う、うん、そうだよね…。いつも、成功することが変なんだよね…」
そう言ってとぼとぼ寮に戻るアズラ。
「サクヤ、あなたの失敗ってアズラみたいに明らかに無理な失敗だった?」
「……いや…詠唱を覚えないとか…魔術が暴発するとか……」
「じゃあ…やっぱりアズラは変よ。そもそも魔術を使えていないもの…」
「…でも…俺たちには何も出来ねぇ…」
「そうね…」
その日の夜、アズラの部屋―
「…ねぇ…レム…?」
「…中級魔術が使えないんだろ?」
「…!?…どうして…それを…?」
「…お前の体質は主人から聞いている。…アズラ、人にはそれぞれ魔術の適性ってものがある…。お前は少々それに恵まれていないだけだ…」
「じゃあ…僕は魔術師に向いていないのかな…?」
「…いや、そんな事はない。確かに中級魔術は使えんが、魔力の量、質、どちらもあの四人より遥かに上だ。なら、術式なり強化術なりを極めれば立派な魔術師になれるさ…」
「でも!」
「あのな…お前の爺さんは錬金術だけで十人の一流魔術師を相手にしたのだと主人が言っていた。お前もそのようになればいいだけだろう?」
「…そうか…そうだよね!中級魔術が使えなくても基本や初級があるもんね!」
「…あぁ…そうだ、頑張れよ…」
「うん!じゃあ明日のためにもう休むね。おやすみ、レム」
「あぁ…」
アズラが寝静まったころ…
「悪いな…これもお前の為なんだ…」
そうレムは呟いた…。
最後のレムの独り言からも分かる通り、アズラくんが中級魔術を使えないのは理由があります。ただその理由が明らかになるのはかなり先の事になります。