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吹雪に舞う乙女、雪女騒動3

章末イベントの…一応会話パートかな…?

「レムゥ?」


「…なんだ…?」


「二つほど質問があるんだけど…」


「…なんだ…?」


「この吹雪、何とかならない?」


「…自分に対する被害だけなら、術式でファイアでも撃って自然術で維持すればいいだろう…?」


「あ、なるほど…。《ファイア!》《炎よ、我が力に応え、とどまれ!》」


二つの魔術を立て続けに行使したアズラの手のひらには炎が爛々と輝いていた。


「ちょっと熱いけど…まわりが冷たいし丁度いいかな?視界もよくなったし…。

で、もう一つだけど…」


「…あぁ…」


「あの二人、大丈夫なのかな?」


「…間違いなく、遭難してるだろう」




「ううぅ…さむい…」


「かなり…やばくねーか?」


二人はレムの予想通り遭難していた。地面には雪が積もり、足首まで埋まっている。この雪の深さで判断すると、現在地は舞雪の山だ。

吹雪はさらに強くなり、隣の人物の判断すらつかない。この状況では凍死も時間の問題だろう。


「うう…私たちここで死んじゃうのかな…?」


「かもしれないな…。あぁ…もう一度母ちゃんの料理が食べたかった…」


諦めムードの二人。




 

二人がそんなことを言っている時―


「レム!本当にこっちで合ってるの!?」


「…あぁ…。こっちからあいつらの魔力を感じる…」


「じゃあ…《クイック!》もっと急がないと!」


アズラとレムは雪を掻き分け、雪山を突っ走っていた。目的はもちろん行方不明の二人を探すことだ。


「…こっちだ!」


「わかった!頑張って二人とも…。今行くから…」




「あぁ…もう…だめ…」


「そう…だな…」


対策も無しに吹雪の雪山に踏み入った愚かさを恨みながら、二人は意識を失い始めた……


「あぁ…光が…見える…。死んだのかな…私…」


「あぁ…俺にも見える…。天国か…ここは…?」




「カティ!テムダ!」


光の正体は間一髪でたどり着いたアズラの炎だった。


「…呼びかけても無駄だ!うまくこいつらを炎で囲え!」


「うん!《炎よ!我が力に応え、動け!》」


手のひらの炎で二人を囲う円を作り、維持するアズラ。幸いまだ生きていて、二人の顔に赤みが戻り始めている。

とりあえず自然術を解除し、近くにあった洞窟に二人を運んだ。




「う…うう…、無事…だったの…?私…」


しばらくしてカティが意識を取り戻した。


「カティ?大丈夫?」


「アズラッ!」


「わわっ!?カ、カティ!?」


助かった安堵感からか、アズラに思いきり抱きつくカティ。当然、そんなことをされたアズラは…


「ちょ、ちょっとカティ!は、離れて…」


「アズラッ!アズラッ!」


アズラの抗議もカティには届かない。正直、カティは相当な美少女だし、ぺったんこって訳でもない。いくらアズラとはいえ、こうされ続けるのにはツラいものがあるわけで……


「カ、カティ…早く…離れて…」


アズラがいろんな意味で限界に達しようとした時……


「…何やってんだ…?お前ら…?」


助け船は思わぬところからやって来た。意識を失っていたテムダが目を覚ましたのだ。


「あ、あれ…?私、どうしてアズラに抱きついてるの…?」


「それよりとりあえず…離れて…」


「わわっ!ごめんアズラ!」


そう言ってそそくさと離れるカティ。


「よかったなアズラ。カティに抱きついてもらえて」


ケラケラ笑いながら言うテムダ。


「…気が気じゃなかったよ…」


とっても疲れているアズラ。


「そ、それより、どうして私たちの場所がわかったの?」


顔を真っ赤にして話を変えるカティ。


「う、うん、レムにカティたちの魔力を見つけてもらったんだ」


「じゃあ…レムくんにもお礼言わなきゃ…レムくんありがと」


「…あぁ…」


なぜか洞窟の入り口で頭に雪を乗せたレムが返事をした。


「どうしたの?外に何かあったの?」


「…あぁ…魔物が一人、いたな…」


頭を降って雪を落としながらレムが答えた。


「どこかに行くまで、この洞窟で…「無理だな。奴はお前たちをターゲットにしている」…えぇっ!?」


「…とりあえず出ようぜ?最悪逃げればいい訳だし…」


「…そうだね…」


そう言って再び手のひらに炎を維持するアズラ。それに習い、二人も炎を維持する。




「あらあら…どんな人かと思えば…まだまだちっちゃな子供じゃない」


洞窟の外には、まさしく、氷の女王と形容すべき物がいた。


「…フリーズ…クイーン…」


レムがそう呟く。たくさんのフリーズプリンセスを束ねる女王、それがフリーズクイーンだ。


「お前が…学園とかで吹雪を起こしてるんだな…?」


「あら…?何のことかしら?」


「しらばっくれるな!俺やカティやほかの生徒も迷惑してるんだよ!」


「…濡衣を着せられて、黙ってる訳にもいかないわね…。いいわ、かかってらっしゃいな」


ふふふっと妖艶に笑う女王。その瞬間、周囲の吹雪が強くなり、三人の炎を消す。


「もう逃げられないわよ?覚悟はいいわね?」




―氷の女王との、決戦が始まった―

えっと、次回は戦闘パートと会話パートが混ざっています。

章末イベントは残り二話。今までの章末イベントと違い、これからは後に残るフラグを立てたりしますので、お楽しみに。

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