前途多難!熊狩りの道
現在、三人は獣牙の寝床に向かうため、学びの木を歩いていた。
「ハァ…、まさか私たちがあの熊と戦う日が来るとはねぇ…」
カティが嫌そうにぼやく。
「そうだね…アイツには遭いたくないんだけど…」
同じく嫌そうに返事をするアズラ。
「なんだ?どんな奴なんだ?」
何も知らない、呑気なテムダが聞く。
「「見つければわかる……」」
倒すと意気込んだものの、何か負のオーラを出しながら答える二人に……
「お、おう、わかった…」
気圧されたテムダだった……。
獣牙の寝床に入ってすぐ、ビッグベアの歓迎を受けた。もっとも、そいつはテムダの槍で胸を一突きされ倒れたが。
「なんだ、こんなのと戦うのが嫌なのか?なっさけねぇなぁ」
ターゲットの怖さを知らないテムダ。
「じゃあ一人で行ってこれば?」
「そうね、そうして」
二人して帰ろうとする。
「いや待て!待ってくれ!冗談だ、お前らの力が必要なんだ」
「もう…今のもほとんど相手が油断してたから一撃だったのよ。浮かれないで」
「わ、わかった…気をつける」
獣牙の寝床を進む。ビッグベアと遭遇したのは最初だけで、その後はウルフやレオなど今の三人には取るに足らない存在ばかりとしか遭遇しなかった。
ビッグベアも時々見かけたが、こちらに気付いていないようだったので無視した。
さっき一突きで倒せたのは相手が弱っていたからだ、と気付いていたアズラとカティが勇むテムダを止めていた。
「なんで倒させてくれねぇんだよ!」
「体力と魔力のムダ使いになるからよ!」
「ターゲットは厄介なんだからできる限り万全の状態で挑みたいんだ」
怒りをあからさまにするカティと、静かに説得するアズラ。しかし共通して二人の表情は…
「わかった、わかったから鬼のような形相で睨むのはやめてくれ…」
バカなテムダに怒り心頭、表情はテムダの表現どおり、再び気圧されたテムダだった…。
続けて森を歩く三人の前に再びビッグベアが現れた。今回は相手も明らかにこちらに気付いていたので、先走ったテムダの詠唱開始を二人は止めはしなかったが…。
「グガァオ!」
奴はターゲットだった…。
こちらをまっすぐ見据えると、恐ろしいまでの速さで走ってくる。50m5秒の速さは健在…いや、さらに速くなっている!
「な、な、なにぃ!?」
詠唱を中断するテムダ。ほかの二人は既に逃げ始めていた。
…果たして、アルバイトを無事に完了することはできるのか…?
(いや…展開的に無理でしょ……)
暗いツッコミはいりません…。
やっと夏休みに入りました。世間の学校では40日とされる夏休み、なぜか私は30日。短いです…。