第三章、資金不足に伴う緊急収入確保作戦
本日より第三章。今までより後に影響するイベントを多く入れようと思っています。
秋休みが終わって一週間、四人はテムダに招集をかけられた。
「何の用だろう…?」
「行ってみれば、わかるわよ、きっと」
集合場所に行く途中、アズラはカティを見つけた。そして話しながら歩いていた。
で、その招集の内容とは…
「悪い!手伝ってくれ!」
速攻で手を合わせ、四人に懇願するテムダ。何事かと思ったアズラが事情を聞くと……
「いや、あの、その、な、少しリムを使い過ぎて、所持金不足なんだ。で、割のいいアルバイトを見つけたから手伝ってもらおうと思ってな」
「…魔術祭の賞金の4000リムは…?」
「…もう…手元に無い…」
凄まじい金使いの荒さに呆れかえる四人。
で、その中で……
「アタシ、今日授業申請しちゃった〜」
「……自分も……」
サクヤとエンカは無理なようだ。見たところ、アズラとカティもあまり乗り気ではない。
「自業自得でしょ…自分でなんとかしなさい」
くるりと背を向けながら言うカティ。アズラもそれに習い、立ち去ろうとするが……
「頼む!ほんとーにお願いだ!マジで手伝ってくれ!」
この世の終わりかと思うぐらいの勢いで懇願するテムダ。
表面的には冷たい態度を取っていた二人だが、当然本質は優しい。
「ハァ…仕方ないわね…付き合ってあげるわ…」
「手伝うのはこれが最後だからね」
「すまん!恩に着る!」
で、学生課に着いた三人。テムダの示したアルバイトは『獣牙の寝床のターゲットの討伐。詳細は受付まで』確かにターゲットは一体らしいし、報酬もなかなかだ。――もっとも、休み明けのこの時期はアルバイトをする生徒が少ないため報酬は高めになっているのだが――。
「すいませ〜ん、獣牙の寝床の魔物討伐の詳細を聞きたいんですけど」
「はい、これのターゲットはビッグベアの変異種です。通常のビッグベアより足が速いらしくて、戦闘能力も高いそうです。今まで数人、討伐に向かったのですが、すべて返り打ちにされてしまいました。薬学やそのほかの授業にも支障が出ているのでよろしくお願いします」
「え…まさか…?」
「間違いなく…あれでしょ…」
ターゲットは、アズラとカティが追いかけられ、異世の密林に行く原因となった奴のようだ。
「そもそも薬学に支障が出てるって、あの先生が好きでやってるんでしょ……絶対…」
「うん…絶対そうだね…」
「よし!行こうぜ!」
報酬が欲しいテムダと、ミランダの暴走を止めたいアズラとカティ。目的は違えど、このアルバイトを完了しなければならないという意思は一致したのだった……。
今回のテムダの資金不足ですが、彼の設定に依存しています。それは四章くらいで明らかにしたいと思っています。