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魔術祭!神速鬼ごっこ!?3

魔術祭戦闘パートその1です。

『さぁさぁ現在エルフくん1号は命の洞穴を絶賛逃走中です!我こそはと名乗る者はこぞって命の洞穴にいらしてください!』


『実況及び解説は空中アナウンスのマフィナ&ハウルでお届けしております!』




「…どうなってんだ…あのワイヤー…」


空中を飛びまわる司会の二人に素朴な疑問を抱くテムダ。


「…さぁ…?で、命の洞穴、行く?」


気にしたら負け、といった態度でスルーするアズラ。


五人は現在、学園を出てすぐの始まりの草原にいた。


「……ううん…あの標的…逃げるの速い…単純に追いかけても無駄……」


「…そうね…私たちが学園を出る間に命の洞穴に行ってるんじゃ…普通に追っても無理ね…待ち伏せする?」


「んなことしてる内にほかの奴が捕まえたらどうする!?」


「ね〜ね〜、何人かで待ち伏せして、残りで追い込むのは〜?」


「……他人の妨害に対応しにくくなる…五人でいるのが上策……」


『おお〜っと、エルフくん強い!隠していた暗器で追っ手を撃退したぁ〜!』


『キュートな見かけに騙されないよう、皆さんも十分にご注意くださ〜い!』


「…待ち伏せだな…」


「そもそも…勝てるのかな…?」


そこはかとなく不安な五人だった…。




で、結局五人はというと…?


「どうやって仕留めるんだ?」


優しき廃虚で待ち伏せしていた。

隠れる場所の多いここは待ち伏せに最適だ。


「敵に気付くと、逃げながら飛び道具で攻撃するみたいだから…やっぱり一撃必殺かな…?」


「でも耐久もなかなかのものなんでしょ?一撃必殺は難しいと思うわ…」


「人に任せて弱ったところをいただき!とかは〜?」


『おお〜っと、惜しい!いいところまで行きましたが後一歩及ばず!エルフくん、傷を高速で癒しております!』


『特殊訓練仕込みの能力、侮るなかれ!皆さんもおいしいとこ取りなんて考えず、自ら全力でがんばってくださ〜い!』


「なんだよ特殊訓練って…」


「どこで…何やらせてたのかな…」


「……訓練は…軍隊か…暗殺業のだと思う……」


「…なんで…そんな訓練できるのかな…?」


「「「さぁ……?」」」


黙りこむサクヤを除く四人。サクヤはというと…


「ね〜ね〜、お客さんだよ?」


誰か連れて来た。



「なぁなぁ、そこ、譲ってくれねえか?」


「アタイら、どうしても優勝したいわけよ」


明らか不良の二人組、学年は二年。


「早い者勝ちだろ?他をあたりな」


軽くあしらうテムダ。当然バカにされた不良どもが黙っている訳もなく…


「上等じゃねぇか…一年が下手に出てれば調子に乗りやがって…痛い目に会いたい様だな!」




戦いの火蓋が切って落とされる。

先手はテムダ。足を強化し大地を駆ける。

しかし…


「なにっ!?」


ある一ヶ所に足を踏み入れた途端、足が地面に縫い付けられたように動かなくなった。見れば怪しげな魔法陣が浮かんでいる。

結界術――設置型の魔術で範囲内にいる者に効果を与える中級魔術だ。戦闘開始の前に結界を張る事は、基本だが有効な戦術だ。


「喰らいなっ!」


いつの間にかかなり離れたところにいる不良ども。男が放つのは術式5の、ライトニング。

アズラたちにはまだ使えない魔術だ。


天空より襲い来る雷撃。寸分の狂いなくテムダに落ちるが…


「ラッキー!アタリだ!」


右手首のリングを掲げる。するとリングは右手を覆う小手になり、襲い来る雷撃を受ける。バチバチと帯電する小手。しかもテムダは無傷だ。

どうにもあの小手には電気を蓄積する能力があるようだ。


「そらっ!お返しだ!」


小手から電撃を放つ。

惜しくも不良には当たらなかったが、大きな隙ができた。


「フッ!」


息を吐くと同時に、弓を構えていたカティが矢を放つ。流石は元弓道部。遠く離れた目標に対しても矢は確実に向かう。

しかし…矢に気付いた女が歌いだす。その瞬間、周囲に風が吹き始め、矢の軌道をそらす。

術歌――詠唱中も効力をもつ中級魔術だ――。厄介なことに術歌は魔力を蓄積する。詠唱中の効力は蓄積した魔力に依存するため、少しずつ効力が強くなっていく。

その証拠に続けざまに放っていた矢は、それるどころか落ち始めている。


「……させない……」


簡易術式でアズラにクイックを重ねがけしてもらったエンカが、吹き荒れる風に触れる。


「《風よ、我の導きに応え、流れよ!》」


刹那、めちゃくちゃに吹いていた風が女の不良に向かって道を作るように吹き始めた。

自然術――自然に干渉し、思いのままに操る初級魔術だ。


その風に導かれるように、矢が飛ぶ。気付いた時には遅く、矢が目前に迫っていた。


ガッ!ガッ!ガッ!とプロテクターに阻まれる音がしたが、会心の攻撃であることには間違いない。


「ピピッ、テンソウ、カイシシマス」


アナウンスが流れ、女は退場となった。


「ア、アネキ〜」


残る男は…


「やぁっ!」


サクヤが蹴り飛ばし、

「《ハイ・ブラスト!》」


アズラが撃退した。




「ふぅ…疲れた…」


「大会、どうなってるかな…?」


「んな都合よく…『残り参加者も減りつつあります。エルフくんも少しずつ体力を消耗しております。残りの参加者は今がチャンスですよ!』…んなっ!…『エルフくんは現在優しき廃虚に向かって逃走中、さぁ勇者よ、廃虚に集え!』…なんだこのご都合主義…」


その瞬間、タタタタタッと音がし、緑の服を着たとんがり耳の少年が走って来た。




―優勝を賭けた戦いが、始まる―

次回はターゲットと決戦です。書き始めて一月と少し。もうすぐ全シナリオの6分の1です。早く3分の1まで行きたいなぁ…。

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