魔術祭!神速鬼ごっこ!?2
第二章章末イベント第二話です。まだ戦闘パートには入りません。
二日間に渡って行われる魔術祭。初日は特に関係するイベントもなく、適当にバザーを見てまわったり、三年生の武闘大会を観戦したりしていた。
「三年生の大会って言っても大したことなかったな?」
「そうだね〜、あの人たちなら私たちでも…「……それは無理…でも…あの人ならおそらく……」ちょ、ちょっと〜」
「確かに…あの人ぐらいの二年生なら…」
『あの人』はいつかの戦闘訓練の人である。
「でも、バザーではいろいろ買えたし、よかったじゃない」
そう言ったカティの髪には白い石をあしらった髪飾りがある。
「そうだね。先生たちが不良品はきちんと見つけてくれてるし、良いものが買えたね」
そのアズラの指には無色の石をはめた指輪がある。ほかの三人も同意しているところを見ると、いい買い物をしたのだろう。
これらのアクセサリーは『魔装具』と呼ばれ、身につけている者に魔術の加護を与えたり、一風変わった魔術を放つことができる。
「あら、あなたたち」
解散の宣言をしようとしたテムダの背後から、いつもの声がした。
「先生、こんにちは。どうかしたんですか?」
「いえ、あなたたちが明日のメインイベントのこと知ってるかなぁと思って」
「何かあるんですか?」
「えぇ、参加するなら今日はしっかりと休んでおきなさいな。明日は走り回ることになるから」
「一体どんなイベントなんですか?」
「それは明日のお楽しみよ♪じゃあまた明日ね〜♪」
手をひらひらと振って立ち去る女…じゃなくてミランダ。
残された五人は…
「結局、なんの用だったんだ?」
「さあ…?」
何もわからずじまいだったようだ…。
―で、翌日―
朝イチで武闘大会の決勝トーナメントがあった。ちなみにサクヤは寝坊して不在、エンカはがんばってサクヤを起こそうとしているので不在。故に大会を観戦したのは三人だけだった。
「まったく…パッとしない大会だったな?」
「うん…さっき先生たちが話してたんだけど、今年の三年生は不作なんだって」
「あとは…メインイベントだけね…」
そこにエンカとサクヤが合流する。
「ごっめ〜ん、寝坊して〜」
「……大会…どうだった……?」
「いや、まったく面白くない試合だったぜ」
「……そう……」
なんだ、といった顔をするエンカ。
話が一休みしたところで…
バン!バン!バン!と爆発音が鳴った。何事かと思って音源を見ると、花火が上がっている。
「レディ〜ス、ア〜ンドジェントルメ〜ン!」
「お待ちかね、メインイベントの時間で〜す!」
司会の二人が空を飛んでいる。
「どうやってんだ…あれ…?」
「さぁ…魔術の一種でしょ?」
「……ワイヤー……」
「あ、ほんとだ」
見れば背中にキラリと光る糸が着いている。
で、それはどうでもいいから、
「今年のイベントは〜!」
「「『神速鬼ごっこ』です!!」」
ワアーッと盛り上がる会場。
「ルールは簡単、いまからエルフを一匹放すので、捕まえて戻ってきた人の優勝です!」
「このエルフはしっかりと教育されているので星4以上の地域には踏み入りません。一年生の皆さんもがんばってください!」
「当然、妨害も自由です!病院室はフル稼働してますのでご安心ください!」
「準備はよろしいですか!?それでは…」
「「スタートです!!」」
―鬼ごっこ、開始―
今年の三年生が弱いのは別に今後問題にもなりません。ただ弱いといっても当然アズラくんたちよりは強いです。
次回は戦闘パートです。鬼ごっこの逃走者か、それとも…?