悪夢再び!?生存確率13%!
一年生は様々なフラグ立てに専念しようと昨日思いました。
第二章通常編最後のシナリオ、薬学2編です。
時は八月中旬、三週間ほど好きな授業を受けていた五人。今回五人で同時に受けるのはあの『薬学2』。
「今回は強化系の薬について学んでもらいます。応用すれば弱化系の薬も作れるようになるのでしっかり理解するように」
授業の担当は『あの』女教師だ。
「今回、課題で作ってもらう薬は、向上剤です。飲むとしばらくの間、全ての能力が上がります。強力剤や硬質剤より単体の能力は劣りますが、様々な能力が上がるので望んでいない効果が役立つことが多々あります。
材料は『月光草』と『獣牙の寝床』にある『ウルフファング』、『幼き荒野』にある『向上草』、それと購買に売られている『解邪剤』…だけど学園の方針で三つの材料を集めた人には、作成に必要な分は支給するようにとのことです。あと向上草には群生の周期があって、ちょうど明日からです。
作成の手順は実験場にある本を参照してください。作成の期限はありませんが、課題を完了するか放棄するまで次の授業は申請できませんので注意してください。この場で放棄してもらっても結構ですし、この後も管理棟の私の部屋に私はいますので、質問なり放棄の意思表示をすれば私もその意思に応えましょう」
そう言って薬学の女教師はさっさと出ていった。
「どうする……って聞くまでもないか…」
「うん、質問に行こう?」
「今度は何があるのかしら…」
「あら…あなた達は…」
「先生、質問に来ました」
「今回も質問に来たの…?今日も質問に来たのはあなた達だけよ。まったく、学習能力の無い子達ね…。で、どうぞ」
「短刀直入に言おう。今回は何がある?」
テムダがストレートに聞く。
「そうね…下調べしない子が悪いんだけど、四つほどあるわね…。一つ目は月光草は乾燥させないといけないこと、二つ目は向上草が特定の場所にしか無いこと、三つ目はウルフファングは巣の中にしか無いこと、四つ目…これが一番重要ね。
獣牙の寝床には縄張りの概念があって、入ると主に襲われるのよ。で、今は夕方。寝床は近いから今から行く子も多いでしょう。昼なら縄張りを出れば主も攻撃を止めるんだけど、夜は縄張りを出ても追いかけてくるのよ。さらに今日は満月、向上草もさっき授業で言った通り今日は生えてない。つまり今日採取に行った子は…」
「…全滅…」
「はい、ご名答。だから採取は明日から、さらに月光草から始めた方がいいわよ」
「…わかりました…あと先生…?」
「ん、なに?」
「この状態、楽しんでます…?」
「教育よ教育。教師の言うことを聞かないとどうなるか…っていう」
クスクス笑いながら言う女教師。説得力ゼロだ。
「…ありがとうございました…」
「えぇ、どういたしまして」
「…何なんだ一体…?」
「クールな外見と違って…面白い事が好きなんだね…」
「そんな次元じゃないでしょ…」
「…もう…今日は解散な…」
―その日の夜―
「ぎゃあ!」
「ピピッ、テンソウ、カイシシマス」
「わーっ!」
「はぁ、今日は一年生の緊急帰還が多いわねぇ」
保健医はそう言って本日三十四人目の患者を入院させていた。
ちなみに本日薬学2を受講していたのは三十九人だった…。
はい、薬学教師の本性が出た話でした。生徒の学習能力が低いのはネタが楽だからです。