表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
172/174

決戦、封印の災厄!10

「…助っ人か…。…貴様の仲間の話では貴様、一度死んだようだな…?」


「なんの話だ?…たしかになんかよくわからねぇもの喰らって、吹き飛ばされた時に変なところ打って、気絶してただけだが?」


「…即死魔術を受けて生きていただと?…なるほど、そういうことか…」

すぐに理由を理解したスティン。…先に言っておきますが、テムダに不死身設定なんてありません。


「幽霊…なんかじゃないのよね…?」


「おう、生きてるぜ!」


「よかった…」

「心配したのよ…」

仲間の復活を心から喜ぶカティとアズラ。…そもそも死んでいないので、復活というのは間違っているのかもしれないが…。


「…感動の再会はその辺にしておけ…。運よくエリキシルで助かったからといって、調子に乗ってるとすぐに死ぬぞ?《コロセ》」

また死の魔術の連射を始めるスティン。


(《女神の盾!》)

対策がこれしかない以上、カティに頼るしかない。どんどんカティの魔力がなくなっていく。


「二人とも!そろそろ…」

魔力がなくなる、とまでは言わないカティ。言わなくても二人はわかるだろうし、スティンが知れば、こちらが不利になる。


「…娘、魔力切れが近いな?」


「っ…!」

さすがは最キョウの魔術師。その程度のことはお見通しだった。


「魔力が切れれば、貴様ら全員死ぬぞ?」


「わかってるわよ!…何か、何か作戦は…」



「…こんなのはどう?」

何か作戦を考えついたのか、二人にこっそり話すアズラ。


「…かなりの博打だが、やるしかねぇか…」


「…魔力が持てば…」


「ほう、何か思いついたか…。面白い、足掻いてみせろ…」

死の魔術を連射し続けるスティン。これを突破できる策などあるのか…?

「言われなくても…。いくよ、二人とも!《サイクロンッ!》」

二人に合図してから、跳び上がって風の術式、サイクロンを放つアズラ。

本来、術式の7以上で、攻撃系の術式は地に足をつけて放つのが常識だ。理由は、術式7以上は反動が大きく、魔術を放った方向と逆方向に強く吹き飛ばされる恐れがあるからだ。


「…術式はおろか、天界術でも破れんぞ…?《ゼッタイショウヘキ》」

少しの間、死の魔術の連射を止め、自らの防御を行うスティン。いくら遊んでいるといっても、自らの完全復活がかかっている以上、再封印は喰らいたくないのだろう。

現れた盾に、台風並の風でも、あっさりと止められてしまう。さらに反動で、後ろの壁に向かって飛ばされるアズラ。


「ここまでは予定通りっと、《脚部強化!》」

空中で体勢を立て直しながら、足に強化術をかけるアズラ。そのまま壁を強く蹴り、スティンに向かって弾丸のように飛んでいく。


「《コロセ!》」


「させないわ!」

カティが天界術で守る。ずいぶん距離はあるが、あの早さならすぐに接近できるだろう。


「小癪な!娘、お前から死ね!」


「!?しまった!」

カティは自分で理解している。あと天界術を放てるのは一発だけだと。天界術は同時に二つ使えない。つまり、自分を守るためにアズラの盾を解くと、アズラの身が危険にさらされる。


「どうすれば…(大丈夫…)…え…?」

迫る紫色の弾。対策を考えるカティの耳…いや脳に、優しい女性の声が聞こえた。


(自らを守りなさい…。大丈夫、魔力なら足りるから…)


「…くっ…(《女神の盾!》)」

声の主は誰だか知らないが、二人とも助かる可能性があるのは、声に従うことだ。声に従い、自らを守る。


「これで魔力切れだ、娘!仲間の死をその目に焼き付けるがいい!《コロセ!》」


「いいえ、アズラは殺させないわ!(《女神の盾!》)」

すでになくなった魔力を使い、アズラを守ろうとするカティ。本来、そんなことができるわけないが…




光の壁がアズラの前に現れた!当然、精度も完璧で、死の魔術を防ぎきる。


「ちっ、エリキシルか!だが、この壁は突破できまい!」

カティの天界術は、エリキシルの不思議な能力で発生したようだ。


最後の砦とばかりに、サイクロンを防いだ盾でアズラを止めようとするスティン。


「させるか、よおっ!絶対の、破壊!くらえっ!」


「なっ…!」

テムダが一本の槍を投げる。その槍には、テムダのオリジナルの能力、『魔力を含む非生物の絶対破壊』が付与されている。


その槍は、アズラが到達する直前に盾を砕く。


「終わりだあっ!」

すれ違いざまに、アズラの零がスティンの身体を走る。零の能力で瞬時にスティンは魔力を失い…


「ちっ…今回は我の負けだが…また十年後…」


(アズラ、あなたの最後の力を…)


「姉さん!?」


(あなたの力は、封印の力。大丈夫、私がついてる)


「まさか…オリジナル!?」


(力を望んで!そして救って!その名は…)


永遠エターナルの…」

(永遠の…)


牢獄プリズン!」

(牢獄!)

アズラの宣言で手の平から八本の光の帯がほとばしる。それらは一度交差し、丸い籠の形となりスティンを捕らえた!


「なにっ…、魔力が…魔力が失われて…。やめろおおぉぉ………」

永遠の牢獄――対象の魔力を現在値に固定する固有魔術。零に斬られた後なので、スティンの魔力は『ゼロ』だ。




スティンは完全に封印された。もう二度復活することはないだろう。仮に復活しても、もう魔術は使えない。




―決着―

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ