表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
166/174

決戦、封印の災厄!4

「どうしよう、これ…」

いまだに溶岩の海で足止めを喰らっているアズラたち。時間をかければ、スティンの復活に間に合わない可能性も出てくる。


「…なにか、しかけとかないかしら…」

そう言って、辺りの壁を調べるカティ。隠しスイッチやレバーを探してみる。…まぁ、そんな物はないのだが…。


「姉さんはどうやって通ったんだろう?」

アズラが疑問を口にする。

ちなみに、レイカの場合は、『翼を得る』という効果の天界術で、飛んで渡ったのだ。カティは、それを習得できていない。


「……空間干渉も…できない……」

エンカの実験も徒労に終わった。


「あぁー!どうすりゃいいんだよ!」

テムダが叫んだその時…。




「《ダイヤモンドダスト!》」


「《クウカンチエン!》」

二つの女性の声が響く。すると、溶岩の海が、みるみるうちに凍りついていく。


「みなさん、進んでくだサイ!」

そう言いながら、先陣を走るもう一人の女性…型ホムンクルス。現れたのは、グレイシャル、ジャラク、ジクスの三人だった。


「は、はい!」

凍りついて固まった溶岩の上を駆けるアズラたちとジクス。溶岩が凍りついたからか、辺りから炎を纏ったコウモリ、フレイムバットが現れた。


「邪魔デス!」

そう言うと、右手を何かに変えるジクス。変化した右手からは真っ白な粉が噴射される。


「消火器って…」

変化した右手の正体は、火事のときに魔力を使わず火を消す道具、消火器だった。たしかに、フレイムバットは火が消えると死ぬため、有効な選択かもしれないが…。


「みんな!急いで!」

グレイシャルが叫ぶ。見れば、氷が端のほうから溶け始めている。しかし、ジャラクの古代禁術のおかげで、溶けるスピードはかなり遅い。


「ヌオオオオ…」


「!?ラヴァ…」

氷が溶けた場所から、溶岩でできた雪だるまのような魔物が現れた。


「もうすぐ向こう岸デス!がんばってくだサイ!」


「うおあっ!?」

向こう岸は目の前の状況だが、ラヴァの登場によって、氷が溶けるスピードが格段に上がった。すでに最後尾を走るテムダの後ろ五歩まで迫ってきている。


「跳んでくだサイ!」

自らが跳ぶと同時に、ジクスが叫ぶ。それに従い、五人も大きく跳んだ。


「うわぁ…危なかった…」

アズラたちが岸に着くと同時に、氷は完全に溶けきった。残りの二人は、浮遊しているため大丈夫だ。


「じゃあカティちゃんたち、がんばってきてね」


「応援してるわよ~」


「ご武運を祈っていマス」


「あれ?グレイシャルさんたちは?」


「帰り道の確保よ」

そう言ってラヴァを指し示す。


「わかりました。行くわよ、みんな!」

カティの先導で、洞窟を再び突き進む五人。難関だった溶岩地帯は、助っ人のおかげで大した苦労もなく突破することができた。






その頃、洞窟前―


「余裕出てきたから来てみたが…噂以上だな…」


「あら?奇遇ね?」


「なんだよ、お前も来たのか?」


「ええ。恋人候補のお手伝いよ」


「…けっ、悪趣味な。ずいぶんな年増の分際で…」


「うふふっ、外見年齢なら問題はないわ。…それより、どうやって進む?普通に行くと、追いつかないわよ?」


「それなら、考えがある」






「うえ…行き止まりかよ…」

一本道を突き進んでいたはずの五人。しばらく走ると、袋小路にたどりついてしまった。


「そんなはずは…。通る方法が何かあるのよ」


「あれ~?何か書いてあるよ~?」

サクヤが壁に刻まれた文章に気づく。カティの言う通り、通る方法のようだが…?


「この洞窟、封印された後にこんな構造になったの!?いったい、あいつはどんな魔術師なのよ!」


壁の文章はこうだ。

『―この門をくぐるならば、二つの魔力を礎にせよ。さすれば道は開かれん―』

つまり意味するところは、『魔術師を二人置いていけ』だ。


「……ことごとく戦力…削る気だね……」


「どうする?誰が残るんだ?」


「私とアズラは進むわよ」


「なら…「じゃあアタシとエンカが残る~!」…どうす…る…」

サクヤがテムダの質問を阻んで言う。エンカも、それに同意しているようだ。


「いいのか?それで」


「……大丈夫…。…テムダは的に向いてるから……」


「なんだよそれ!」


「囮は大事ってことよ。…二人とも、ごめんね」


「……うん…。…じゃあ開けるね……」

よく見ると、近くの壁に、模様が二つあった。それにエンカとサクヤが触れると…?


「開いたね…」


「じゃあ、行ってくるわね」


「勝ってきてよ~?」


「……がんばれ……」

いつもは無表情なエンカが、少しだけ笑った気がした。




―残り三人―

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ