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一同、決起!

ユウが対策チームに入った翌日の朝十時―


『ピンポンパンポーン

ただ今より、緊急の集会を行います。生徒の皆さんは、至急講堂跡に集合してください』

そんな放送が、校内に鳴り響いた。ちなみに、すでに講堂は『跡』になってしまったらしい。…もういっそ壊しておけば…?






「…何があるんだろ…?」


「……知らない……」


集合途中、エンカを見つけ、そのままいっしょに移動しているアズラ。そして講堂跡に入った瞬間――


「うわっ!?」

「……!?」

急に何かに引きずり込まれる感覚に陥った…。




「あ、来た来た。おーい、アズラく~ん!エンカく~ん!」

気がつけば、俗に言う朝礼台のようなものの近くに移動していて、ユウが呼びながら手招きしている。


「ユウ!?どうしたの!?」

わけがわからないので、とりあえずアズラがユウに説明を求める。


「んーとね、対策チーム集めの最後の手段ってことで、教頭先生に頼んで集会をすることにしたの」


「……作戦とかあるの……?」

今までずっと勧誘活動をやってきたエンカ。この活動、実際は無意味だった。作戦なしでは無理だと思っているのだろう。


「うーんと…作戦名は『情に訴えかけてみんなに協力してもらおう作戦!』かな?」

…ひねりも何にもない名前である。普通の人には限界があるのだろうか…?


「あ、カティさんたちも来た!」

カティとその弟妹も引きずり込まれた。…ちなみに、引きずり込んでいるのはファルである。


「…いったい何よ…?」


「うん、説明するね…」






「…まぁ、一応理解したわ。でも、ホントに大丈夫なの?」

いつのまにか、テムダやサクヤも引きずり込まれていた。


「うん、ちゃぁんとほかの作戦もあるから。…じゃあそろそろ集まってきたから、持ち場についてね。応援してるよ?」

作戦を立てた本人ながら、ユウは朝礼台には立たないようだ。ファルと少し話して、生徒の集団に消えていった…。




「私とアズラが演説ね」

「オレとマリィが…マイクの調整?」

「アタシたちが~…暴動対策~?」

アズラとカティにはまともな仕事が当たったが、残りの五人には変な仕事が当たった。いや、必要な仕事だとは思うが、別にこの五人がやる必要は決してない。…やはり普通の人は…以下略。






「えーっと、今日はお集まりいただき、ありがとうございます!」

朝礼台に上がって見渡すことで初めてわかったが、生徒の数が思い切り減っている。…仕方ないことだが…。ざっと見積もって、生徒の数は二百人後半くらい。学年の頭に聞いたときは、五百八十何人だったはずだ。


「みなさんご存知の通り、この学園は未曾有の危機に陥っています!」

あまりはやばやと本題に入るのは、内容が内容なので良くないはずだが、ユウの作戦に従う二人。


「学園を護るため、私たちは戦っていますが、絶対的な戦力が足りません!」

すでに数人の生徒は興味を失い始めている。


「僕たち、七人でスティンを倒すつもりですが…」


アズラがここまで言うと、生徒たちがざわめき始めた。あの強大な魔術師を『倒す』宣言したからだろう。


「…それでも、帰ってくる場所がないこ困るのです!」

どうせ無理さ、と悪態をつく者が現れ始めた。


「…必ず、スティンを倒して戻りますので、どうかみなさん、力を貸してください!」


「お願いします!」

カティとアズラが頭を下げた時点で、ユウのシナリオは終わっている。しかし、盛り上がりはイマイチだ。




「私は戦うわよー!」


「俺もだ!学園を護る!」


「みんなで戦えば、絶対に勝てるわ!」


頭を下げて十秒くらい経っただろうか、集団のあちこちから声が響き始めた。

それに触発されてか、みんなの士気がぐんぐん上がる。


「そうだ!俺たちの学園を壊させてたまるか!」


「うちもがんばる!」


次第に、集団全体が一つの意思を持った。


『―みんなで、学園を護る―』






「…うまくいったみたいね…」

朝礼台から降りたアズラとカティ。


「やりましたね!」

ユウが嬉しそうに駆け寄ってくる。


「ああ、ありがとユウ。…それにしてもアズラ、危なかったわね?」


「ほんとだよ…。あの始めの三人くらいがいなかったら、どうなったか…」


「それは大丈夫。あれ全部、あたしがやったから」


「「ええ!?」」


「あたし、小学生のときは、声優志望だったから、いくつか声は出せるの。それでファル先生にお願いして、集団のいろんなところで、声を上げたの」


「うわぁ…賢いわね…」


「そうでもないよ。…これで、後はみんなが約束を果たすだけだね!がんばってね!」


「そうね、後少し、全力で戦い抜きましょう!」


「うん!」


こうして、学園は一つになったのだった…

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