あかずの扉…接着剤は関係ありません
「あー…今回はけっこう遠い…ってことでもないのね」
生徒手帳の地図を見ていたカティが呟く。そもそも、ほかの3エリアと違って、遺跡エリアはこぢんまりしているのだ。
「それにしても…ミランダ先生みたいな魔物って、一番ほって置くと危ないタイプじゃない?」
「えぇ…気をつけて行きましょう」
「だれが危ないタイプかしら?」
久々に聞こえた声。当然主は…?
「うわっ!?ミ、ミランダ先生!?」
「こんにちは~、アズラくんとそのお仲間たち。…さて、話を聞こうかしら…?」
「…覚悟決めましょ…。先生、実は…」
「なるほど…言い出しっぺは学園長ね…。わかったわ。ちょっと文句言ってくるから」
「手加減してあげてくださいね…」
「大丈夫よ。学園長、不死身だから。じゃあね、交渉がんばってね~♪」
そう言って学園長室に向かうミランダ。…学園長、大丈夫だろうか…?
「…尊い犠牲を無駄にしないためにも、がんばりましょう」
「……出発……」
そうして、遺跡エリアを歩いていく四人だった…
「…ここの主、ホントにミランダ先生みたいな性格で済んでるの…?」
幸い、それほど凶悪な魔物には遭遇しなかった四人。そしてたどり着いた『魔女の城』を見上げた感想をカティが述べた。
具体的には、断崖絶壁、昼なのに暗い、雷、コウモリ、茨、というまさしくRPGの魔王の城的な特徴をほぼ全て兼ね備えた城だったのだ。…本当に魔王がいるのではなかろうか…?
「…入ろう。立ってても、何も進まない…」
アズラの提案で扉を押す四人。しかし、開かない。
「引くのかしら?」
押してダメなら引いてみな、という言葉のごとく、今度は引いてみる四人。しかし、また開かない。
「……たまにあるよね…引き戸パターン……」
西洋風魔王の城が、ギャグ系の開きかたをするとは思えないが、一応やってみた四人。…結果は、言わずもがな。
「シャッターみたいに…」
失敗したらギロチンの代わりにでもなりそうな扉。怖いけど一応やってみた。………。
「どうなってるのかしら…?」
扉としての意味を果たしていないものに文句をこぼすカティ。残りの三人も、口にこそ出していないが、同じ意見のようだ。
「…カギでもかかって………」
単純な話を始めたが、途中で停止したアズラ。何事か?と思った三人が、アズラの視線を追うと…?
「「「………」」」
全員の視線の先には…?
『ご用の方は、このインターホンをお押しください』
…雰囲気ぶち壊しである…。
「…押そうか…?」
「…えぇ…」
ピンポーン!という軽快な音が響く。これで入れる、と思いきや…?
…開かない。
……開かない!
………開かない!!
三十分ほどしたが、開く気配すらしない。腹いせに扉を蹴っ飛ばして諦めて帰ろうとすると…?
「…あ、開いた…」
アズラが蹴ると、あっさり扉が開いた。つまり条件は、インターホンを押してから、扉を押すだけだったのだ…。少なくとも、常識とは掛け離れているが…。
「…腹立つわね…」
「……文句…言ってやる……」
とりあえず、無事に城に入れた四人だった…。
いつもの時間に更新できませんので、少し早めの更新です。
別に、この時間に変えるわけではありません。