第十二章、騒動の申し魔女
「…歴史は学べましたか?」
冬休み明け、最初の集合のとき、教頭が、一番始めに発した言葉がこれだった。
「…あぁ、思う存分学んできてやったぜ…」
「教頭先生、私たち、意地でもあいつを倒します!」
「先生、僕たちは何をすればいいのでしょうか!?」
とんでもない気合いの三人。残りの四人は何事か?という目で見ている。
「…やはり、無駄ではありませんでしたね…。人員不足は相変わらずですが、あなた方がいれば、スティンを止められるかも…いえ、必ず止められます。それでは学園長、お願いします」
「今回は、ことの運びかた次第ではとても楽に済みますが、最悪の場合、全魔術を使う相手と戦うことになります」
変な発言をする学園長。…博打でもさせる気だろうか?
「学園長、賭けでもさせるつもりですか?」
みんなを代表してカティが聞く。教頭も、「少々言い方が悪い」といった顔をしている。
「あー…少し言い方が悪かったみたいですね…。えっと、今回のターゲットなのですが、単純に言うと、ミランダ先生みたいな性格なのですよ」
…なんともわかりやすい説明である。
「…まさか、その魔物って『面白そうだから』って理由だけでスティンに加担するような奴なのですか?」
「えぇ、その通りです。…もっとも、協力する意思を示した年は、なんとか倒してしばらく再起不能にしました。今回も、そうなる可能性は十分にありますので」
「それで、今回のメンバーですが…比較的平和交渉の得意そうな、アズラさん、カティさん、エンカさん、マリィさんに頼みたいのですが…大丈夫ですか?」
揉め事の中心人物は外されたようだ。不安要素は二つほど入ったが…
「まぁ…大丈夫だと思います…」
四人を代表してアズラが答える。
「じゃあターゲットの説明をします。遺跡エリア、レベル6地域の『魔女の城』にいる、『アークウィッチ』を交渉するなり撃退するなりして、スティンに協力させないようにしてください。残りの人は…勧誘です…」
「マジで意味あるのか?勧誘活動って」
「さあ~?」
「それとアズラさん、古代禁術は習得できそうですか?」
学園長がアズラに聞く。
「それが…まったく…」
「困りましたね…。協会にも古代禁術を使える人はまったくいないという話ですし…。…とりあえず、つねに持ち歩いて、暇さえあれば読んでおいてください」
「は、はぁ…、わかりました…」
読んでもわからないから困っているんだ、と言いたくなったが、あえて言わない。
「それでは、ご健闘を祈ります」
…教頭先生、戦闘を前提にしないでください。
「あれ?ご武運でしたか?」
…余計悪いです。