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魔術祭!大武闘大会!?9

「………」


「………」


試合はすでに始まっている。しかしどちらも動かない。今までとは違い、相手の出方をよく見ているようだ。


「………ラチがあかないわね…。いいわ、サンアンドムーン!」

武闘大会から使い始めた魔法武具の弓を具現化するカティ。さきほどの試合で対霊の属性が明らかになっている。


「…零、お願い…」

レイカから受け継いだ剣、零を具現化するアズラ。一撃でほぼ勝利確定の凶悪な武器だ。


「…フッ!」


「《サイクロンッ!》」


目にも止まらぬ矢の連射と、それを落とす大旋風。優劣ではアズラが少し優勢だ。


「《ヘルフレイム!》まだまだっ!」

属性の優劣を利用して、旋風を打ち消すカティ。吹き荒れる旋風の代わりに、灼熱の業火が燃えたぎり始めた。


「《メガ・シルド!》《炎よ!我が力に応え、退けっ!》」

矢を盾で防ぎ、業火を自然術で押し返すアズラ。業火はカティに向かい始める。


「…利用されると案外面倒ね…」

キィンッ!と錬金術の音が響く。カティが造り上げたのは水属性の矢。それを業火の先にいるアズラ目掛けて射る。


「うわっ、とっ」

業火を掻き消しながら飛んでくる水の矢を避けるアズラ。


「…そろそろ使おうかな…?」


「…くるわね…」


二人とも契約精霊のアクセサリーに触れる。


「「召喚!」」

二人同時に召喚を開始する。


「黄金の雷帝!」

「舞い踊る吹雪!」


「レンドラーク=ムスペイル!」

「スリート!」


「…本気でいくぞ…」


「ボクに任せて!」




「作戦通り、お願いね!」


「大丈夫、任せて!」


事前に作戦を立てていた様子のカティとスリート。


「《吹き荒れろ、ブリザード!》」

スリートの宣言と同時に、猛烈な吹雪が吹き始める。この状況で不利になるのは当然、アズラたちだ。


「レムッ!」


「…わかっている」

少し先すら見えない猛吹雪の中、レムはある一点に向かって駆ける。その場所にいるのは…?


「やっぱりこっちにくるわね…とりあえず、二つのデュアル・レシーテ!」

オリジナルで魔術の同時発動を可能にしたカティ。


「《クイック!》《スロウ!》」

突進してくるレムにスロウを、自分自身にクイックをかけて高速で繰り出される体術を寸前でかわし続ける。


「スリートッ!」


「オッケー!」

体術をかわしながらカティが叫ぶ。次の瞬間、準備していたのか、レムのそばにスリートが現れた。


「なにっ!?」


「レム!どうしたの!?」

吹雪で何も見えないアズラが叫ぶ。


「入れっ!」

カティを思い切り殴るレム。


「《防いでっ!》…くうっ…」

レムの渾身の一撃は護法に阻まれてしまった。


「《凍てつく息吹っ!》」

レムの四肢を狙ってスリートが息を吹きかける。


「ちっ…」

四本の足全てが凍り、動けなくなるレム。


「《凍てつけ!》」

「《絶対零度!》」


「しくじった、か…」

さすがのレムも二人がかりで凍らされては手も足も出なかった。


「レムッ!どうしたの!?」


「残念でした~♪こんなのになっちゃった」

楽しそうに言うスリートの声が聞こえるのと同時に、吹雪が止んだ。


「!?レムッ!!」

見れば、レムは完全な凍像になっていた。


「アズラ、ちょっと甘いわよ。いくらレムくんが強いからって策もなく突撃させるなんて」


「大丈夫だよ。凍ってるけど生きてるから。終わったら溶かしてあげるからね」


「そんな…」

落胆するアズラ。


「それじゃあそろそろ…」

「終わらせますか」


「っ…!逃げるしか…」


「逃がさないよ!」

再び凍てつく息吹を吹きかけるスリート。それはアズラの両足を地面に縫いつけた。

その間にカティは術歌を詠唱している。


「《バーンッ!》」


「《ハイ・シルド!》残念ね、もう二つの歌は使ってあるの」

カティの詠唱は止まらない…


「負け…かな…?」






「終わりよっ!《歌唱終了!》」

巨大な魔法弾が放たれる。防御魔術など無力。両足が動かず回避も不可能。残るは…


「斬って…止めるしか…「させないわよ!」…うっ!」

両腕にも氷の枷をつけられる。これでは剣など満足に振れない。


『アズラ…零を信じて…』


「えっ!?」

急に聞こえた声に驚くアズラ。


『もう一つの能力…消去の力、RE・SETを使うのよ…』


「え…でも…どうやって…」


『魔力を強く込めるだけ。大丈夫、あなたならできるわ』


「…わかった…。RE(全)…」


「え…なに!?」

急に変わった魔力の流れにうろたえるカティ。


「SET(消去)!」


「きゃあっ!」

スリートが消える。


「………」

凍りついていたレムも消える。

そして…


「そんな!」

魔法弾も消えていた…


「うおおおおおーっ!」


「いけない!」


零を持ったアズラがカティに突進していた…






『大武闘大会、優勝者は…』


ダラララララン!とドラムロールが鳴る。


『アズラ選手です!皆さま盛大な拍手を!!!』


『ワアアアアァァァァーッ!!!』




「はぁ…今年も負けね…。…魔力消去…まったく、そんな能力隠してるなんてズルいわよ…」


「でも、あの能力はあの時知ったんだよ?」


「…知った?」


「うん、声が聞こえたんだ…」


「ほんとに運がいいわね…『それではアズラ選手、司会席までどうぞ!』…お呼びよ、行きなさい」


「うん」






『それでは、大武闘大会も終わりまして、メインイベントに移りたいと思いま~す!』


「あ…まだあるんだったね…」


「もう…不参加で…」


『今年のメインイベントは…な、なんだ!?』

イベントは…まで言ったところで、学園が大きく揺れた。


「大変です!学園に大量の魔物の襲撃が!」


「なんですって!…教員、三年生、至急迎撃してください!一年生、二年生は避難を!」


「不参加、なんて言ってられないわね…。行くわよ、みんな!」






「…学園長、少し早いですが…」


「やむを得ません。もう、話しましょう…」




―魔術祭、中断―

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