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魔術祭!大武闘大会!?8

「んじゃ、速攻で行くか。『零』もあるしよ」

宝物庫で見つけた槍の魔法武具、クレストスピアを具現化するテムダ。しかし数は一本。ジクスと戦っていた時は二本あったので、もう一本は今は使わないようだ。


次の瞬間にはテムダはアズラに突進していた。接近戦で短期決戦―テムダが考えた『零』への対策なのだろうか?


「うおりゃっ!」


「ちょっと…甘いんじゃない!?」


アズラの手には、すでに零が握られていた。

槍を突き出すテムダ。この一撃で倒せなければ、零に斬られて終了だが…?


「残念でした!」


槍を避けて脇から斬るアズラ。テムダの槍は簡単に空を切り、零の一撃が入ったかと思いきや…?


「!?」


ガアンッ!と音がして零が何かに阻まれる。見ればテムダが持っている槍と同じ槍が宙に浮いている。それに零が阻まれたのだ。


「かかったな!それっ!」


また新しい槍が一本増え、さきほど零を防いだ槍と一緒に攻撃を仕掛けてくる。魔力で操作しているのか、意思を持っているかのごとくアズラを斬り、突いてくる。


「っ…。…二本じゃなかったの?」

数回かすめはしたが、決定打は免れたアズラ。ずいぶん離れたので、槍の追撃はなくなっていた。


「限界はあるが二本で終わりじゃねぇぜ?とりあえず…紋章付与、雷、火、水!」

浮いていた槍のうち一本を左手に持ち、具現化している三本の槍に属性を付けるテムダ。どうにもクレストスピアは、属性の付与が簡単な武器らしい。


「やっぱ三本じゃ物足りねぇな…。…いいや、出しちまおう」

テムダの宣言通り、さらに槍が二本、テムダの周囲に浮きあがった。テムダはそれらにも風と土の属性を付ける。


「特訓の成果、見せてやるよ!くらえ!奥義、五色乱突!」

強化術でもかけたのか、高速でアズラに接近するテムダ。五本の槍を持ったり、手放したりして様々な属性の連続攻撃を繰り出している。


「くっ…《ハイ・シルド!》《お願いっ!》」

怒涛の連続攻撃に耐えるべく、術式や投影を駆使してなんとか守るアズラ。当然、右手の零もフル使用だ。






「おらおらおらっ!」


「《お願いっ!》…こうなったら…出し惜しみなんてしてられないっ!《―――!》」

守りながらも何かを決意したアズラ。一瞬、腰に手を当て何かを呟く。そしてまた、防御に戻る。


「そこだっ!」


「うっ!ぐっ」


一瞬腰に手を当てた隙を見逃さなかったテムダ。手薄になった防御を抜け、右手と左足に、一撃ずつ攻撃を加えた。


「しまった!」


ステージにガランガラン、という音が響く。アズラが今の攻撃で零を落としてしまったのだ。


「ラッキー!これで勝ったも同然だぜ!」

槍を一本手放し、零を拾うテムダ。アズラはさきほどの攻撃で尻餅をついてしまっている。


「じゃあ俺の勝ちだな!?」


「…《シルド!》《シル…「無駄だよっ!そらっ!」……」


大量の盾を撒いて攻撃を防ごうとしたアズラ。しかし右手の槍一突きに破られてしまう。


「よし、完全に詰めた」


五本の槍はアズラを囲み、動きを止めている。そしてテムダの手には零。会場にいるほとんど全員がテムダの勝利を確信した――ほとんど全員が――




クスッと笑うアズラ。そんなことなど気にせず、零を振り下ろすテムダだったが…


急にステージが真っ暗になる。何事かと手を止めたテムダ。しかしそれはまずかった。次の瞬間、テムダに大量の闇がまとわり付き、一瞬で大きなダメージを与える。それこそ、決定打と呼べるダメージを…






暗闇が晴れるとみんな目を疑った。

つい数秒前まで絶対優勢だったテムダが倒れ、アズラがまだ立っている。しかし、試合の決着はついた。


『しょ、勝者、アズラ選手!』


『…エボニー、か…。しかし、いったいいつ…?』


そしてヴァンはハッと気づく。


『そうか…あのナイフか…』


『決勝戦の前に少し休憩を挟みます!選手の皆さまは控室にどうぞ!』






「っ、てて…。アズラ、最後のは何だったんだ?」


「ん?ああ、術式10の『エボニー』をいつものナイフに蓄積しておいたんだ。ホントは使いたくなかったんだけど、負けたくないから使っちゃった」


「くそっ…絶対勝ったと思ったのに…」


「まぁいいじゃない。アズラ、次は私よ。今までレムくんも温存してたでしょ?」


「うん、カティだってスリート使ってないでしょ?」


「えぇ。去年は負けたけど、今年は負けないわ。優勝するのは私よ?」


「そう簡単には負けないよ。エボニーもとっておきたかったけど、仕方ないか。負ければおしまいだし。」


「そうね。…そろそろ時間じゃない?『休憩時間を終了いたします。選手の皆さまはステージ周囲にお戻りください』…ほらね」


「じゃあ行こうぜ」






『さぁ大盛り上がりの大武闘大会もいよいよファイナル!決勝戦の時間です!』


『グワアアアァァァーッ!!!』


『最後の華を飾るのはこの二人、カティ選手とアズラ選手です!』


『ワアアアァァァーッ!!!』


『それでは試合のコールをいたします!決勝戦、カティ選手VSアズラ選手!両者ステージにお上がりください!』




「…行くわよ…」


「…いつでも…」




―決勝戦、開始―

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