戦闘訓練のススメ
後二話で第一章通常編は終了です。戦闘訓練編で二話を使って、夏休みの章末イベントに入ります。
「少し……急ぎ過ぎたかな…?」
今、別々の場所にいる五人が同時に思ったことだった――
一年生は夏休みが終わるまで、基本魔術4以上と初級魔術以上の戦闘魔術学は受けれず、理論学もそれほど沢山受けれないのだ。
理由は単純に『急いで魔術を履修すると、身を滅ぼすことがあるから』らしい。
幸い、約束の薬学2は履修可能だが、課題の内容を聞くと、この段階では難しい地域に行く必要がある。
よって、受ける授業がないという事象に陥っている。
故に、今ほとんどの時間を探索とアルバイトに費やしている。
現在、五月の終わり、夏休みまでまだ一月程度ある。
もっとも、こういうことになっているのは五人だけのようだが。
五月の頭、薬学2の時に会ったが、その時はそこまで深刻ではなかったのでこのことは話題に登らなかった。
だが、これを緊急事態だと感じたテムダが召集をかけた。
「で、この状態についてどう思う?」
「どうもこうも、暇かな…」
「えぇ、私も学園周辺の四地域を探索しつくしたわ…」
「アタシなんか、アルバイトを確認しに行ったら『あなた、よく来ますね。授業は大丈夫なんですか?』なんて言われたよぅ〜…」
「……サクヤはちょっと、行き過ぎ……一日平均、八回だもん…」
「うっ…だって暇なんだもん…」
「やっぱりな…そこで、だ!学園の広告にあったんだが、近々学園内の『闘技場』で上級生向けの戦闘訓練があるらしいんだ。それにエントリーしてみた」
「「えええっ!!」」
絶叫するアズラとカティ。それはそうだろう。何せ上級生向けだ、今の自分たちで敵う訳がない。
テムダも正常な判断が出来ないぐらい暇だったのだろう。
「ちなみに参加者は俺とアズラとカティだ。何故かサクヤとエンカは申請できなかったが…。取り消し期間は終わったから絶対参加な!」
豪快に笑いながら言うテムダ。
「アタシたちも出ようとして申請したんだけど…」
「……取り消した…何考えてる…サクヤ…」
「だからお前たちは申請できなかったのか、なるほどな!」
納得するテムダ。もうダメみたいだ、…頭が。
立ちつくすアズラとカティ。いったい二人は何を思っているのか…
((テムダのバカヤロウ〜〜…))だった。
はい!次回は戦闘訓練本番。無事に終わるのでしょうか…?それにテムダは治るのでしょうか…?