魔術祭!大武闘大会!?3
「アイギスッ!」
開始早々、魔法武具を具現化するヴェク。
「相変わらず重くて堅そうな盾ね…」
いつの間にか手にいれていた弓の魔法武具を具現化し、矢をつがえるカティ。
「姉貴の矢くらいアイギスがあればへっちゃらさ!《トルネイド!》」
ヴェクの宣言で竜巻が巻き起こる。
「そんな単純な攻撃じゃダメよ!《トルネイド!》」
カティも同じく竜巻で応戦する。
二つの竜巻がぶつかり合う。やはりヴァンに習っているとはいえ、一年の歳月は大きい。カティの竜巻がヴェクのそれを消し去った。
「《風よ!我が導きに応え、散れ!》」
自然術で竜巻を消し去るヴェク。しかし消えた竜巻の後ろから矢が三本飛んできていた。
「そんなの平気だよっ!」
アイギスで軽く弾くヴェク。普通の矢だったので、簡単に止まってしまった。
「甘いわよ!」
「!?」
見れば上空四方向から矢が弧を描いてヴェクに向かっている。三本の矢は完全に囮で、本命はこの四本だろう。
「うおっ!」
走って避けるヴェク。しかし弧を描いていたのは矢に誘導の能力があったからだ。避けてもしつこく追いかけてくる。
「仕方ない!《侵入禁止!》」
足元に結界を描く。それは即座に発動し、ヴェクを囲む。
しつこく追い続けてくる矢も侵入禁止の結界は越えられずに地面に落ちた。
「…何も通らないわよ?時間、ありがとね」
お得意の術歌の詠唱を始めるカティ。侵入禁止は本当に何も通さない、通れない。
そこに閉じ籠ったヴェクは完全な防御の代わりに一切の攻撃ができない。
そして結界が解ける…
「《歌唱終了!》」
うねる術歌と共に突撃するカティ。蓄積された魔力は大きな力で盾となり、カティを守る。
「こうなったら!」
盾を構えるヴェク。しかし魔力を込めている。
「輝けっ!」
「!?」
魔法弾越しに赤い二つの光を見たカティ。その瞬間…
「っ!?動けない!?」
動きが止まる。
「やっぱヤバイよな…」
魔法弾に対して盾を構え直すヴェク。ガガガガガ!と削るような音が長い間鳴り響いた。
「やっぱ姉貴強いな…」
なんとか防ぎきったヴェク。
「アイギスの力ね…。そんなの持ってたのね?」
束縛から解放されたカティ。
「魔力を込めればこの石を見たヤツの動きを止められる。間一髪、助かったよ」
盾にはめこまれた石を指しながら言うヴェク。
「タネ明かししちゃって大丈夫?言わなかったらまだ使えたかもよ?」
「知られてても見せればいいだけだもん。余裕さ」
「…じゃあこうしましょうか?《ブライン!》」
盲目の魔術を宣言するカティ。しかし…
「うっ!」
なんとその魔法弾を受けたのはカティ本人だった…
「…見なければ大丈夫…。確かにアイギスの力は防げるかもしれないけど、目、なしでオレに勝てると?」
「どうでしょうね?大丈夫だと思うなら来れば?」
「言われなくてもっ!」
目の見えないカティに向かって突撃するヴェク。
「はぁ…いくらなんでも単純すぎるわよ…」
「うわっ!?」
ヴェクの足元に束縛の結界浮かびあがる。挙げ句に罠でも仕掛けていたのか、無抵抗なヴェクの背後から無数の矢が飛んでくる。
「うわああぁぁぁ…」
「《アンチ…》いい勉強になったでしょ?」
『勝者、カティ選手!続きまして第2試合、エンカ選手VSサクヤ選手!』
「……容赦…しないよ……」
「よ~し、やるぞ~!」
『試合、開始です!』
―第2試合、開始―