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オチテイクセカイ

「うわああぁぁっ!!!」


落ちていく大地に飲み込まれていく五人。幸いにも、地面は粉々にならずに、大きな岩の塊のまま落ちていく。普通の魔術師なら十分に移動できる。


「《力を!》」

全身強化の魔術をかけて、岩を跳び移りながらなんとか崩落から逃げようとするアズラ。

ほかの四人も思い思いの手段で陸地に向かっている。


しかし、奴らは違う。復帰が絶望的とわかっているのか、道連れを求めて襲いかかってくる。


「《雷の裁き!》アズラ!お前は復帰に専念しろ!」


「ありがとうレム!」

襲いくる狼はレムが排除し、アズラはひたすら復帰に専念するアズラ組。




「《絶対凍結!》…これで道はできたよ!行くわよ、カティ!」


「《凍って!》うん、わかった!」

狼はカティが処理し、スリートが強引に空気を凍らせる事で足場を作るカティ組。




「これを飲んでっと……邪魔よっ!」

特別な強化薬で身体能力を引き上げ、襲いくる狼の撃退をしながら陸地に向かうミランダ。




「よっ、とっ」


「待って!お兄ちゃん!」

狼の襲撃がないヴェクとマリィ。今のところ一番安全だ。




「先生!空間干渉でみんなを拾い集める事はできないんですか!?」


「ダメよ!この崩落は魔力の明らかな異常なの!だから今異次元に逃げたらどうなるかわからないわ!」


「大丈夫だ!とにかく今は陸地に向かえ!」


ひたすらに無事な大地を目指す五人。崩れていない大地は確実に近づいてきている。






しかし最悪の事態が起こってしまった…


「キャアッ!」


「マリィッ!」

復帰直前でシルバーウルフ一頭の体当たりを受けてしまったマリィ。その衝撃で身体は宙に投げ出される…。


「マリィーーーッ!」


先に陸地に到達していたヴェク。そこに残る三人も集まる。


「兄貴!姉貴!先生!マリィが!」


「「マリィ!」」

アズラとカティが叫ぶ。

空高くに位置する学園。そんな高さから地上に叩きつけられる様な事があればショック死は免れないだろう…。


「お兄ちゃぁぁん!」


「先生!なんとか!」


「くっ、この状況を解決できる魔術も薬もないわ」

とても悔しそうに言うミランダ。その顔は不可能を物語っている


「神様!魔王!何でもいい!マリィを助けて!」


「誰かあぁぁ助けてえぇぇ!」


(願いを叶えよう…)


「なに!?」

「え!?」


(お主らの力は、結束の力。互いに助け、欠ける事の許されない力)


「「何でもいい、助けて!」」


(ならば叫べ、そして繋がれ。力の名は、結束の絆!)


「「結束のユナイト・バンド!」」


二人が宣言した瞬間、落ちていっていたマリィの姿が消える。次の瞬間にはヴェクの隣に現れた。


「お兄ちゃん!」

「マリィ!」

抱き合い、涙を流す兄妹。残りの三人も、そこに駆け寄る。


「マリィ!大丈夫だった!?」

「怪我はない!?」


「お姉ちゃぁん!アズラ様ぁ!怖かったよお~!」


二人にも抱きつくマリィ。しばらく四人、泣き続けていた…。






「…果ての平原は完全に崩落…。…学園の失態ね…。とりあえず教師として謝っておくわ…危険な目に合わせてしまってごめんなさい…」

学園に戻ると、至って真剣に謝るミランダ。


「大丈夫です、先生。全員無事だったわけですし、先生の力ではどうしようもありませんでした」


「…そう、ありがとう…。今日の話は学園にしっかりしておくわ。あなたたちはもう帰りなさい。学園長への報告もいっしょにと思っていたけど、疲れたでしょう?アルバイト代は後日、請求しなさい」


「わかりました。今日はありがとうございました、先生」


「…ごめんなさいね…」

そう言って学園長室に向かうミランダ。




ミランダがいなくなった後…


「…アズラ様、今日、いっしょに寝てもらってもいいですか…?」


「…なんで?」


「怖かったんです。とても一人で寝れそうになくて…」


「…カティに頼めば…?」


「アズラ、マリィがそう言ってるんだからいっしょに寝てあげなさい」


「…わかった。今日だけだからね」


「ありがとうございます!アズラ様!」

恐怖体験をも利用する辺り、けっこうしたたかになってきたマリィでした…。






「そうですか…果ての平原一帯は崩落してしまったと?」


「はい、やはり『アイツ』ですか?」


「時期的に、それしか考えられません。…やはり力が弱まっているのが原因でしょうか…?」


「…とりあえず、調査はきちんとしておいてください。学園の失態ですよ?人、一人死にかけましたから」


「…その点については私たちに非があります。しっかりと謝罪して、再発の防止を心がけます故に」


「…もっとも、今回失敗したら終わりですがね…」


「…いつまで私たちを悩ませれば気が済むのでしょう…?」


「…では、私はこれで」

最後の教頭の発言には返事をせず、部屋を出たミランダ。




「…もう130年目…いつになれば安らかに眠れるのでしょうか…?」


「…まったくです…」


学園長と教頭しかいない部屋で、そうつぶやいた二人だった…。

次回より章末イベントです。最後の魔術祭、今回はサシで決闘!?話数も歴代最長なんと十話!

お楽しみに!

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