長い一日の終わり
「カティ…さっきのは?」
無事に猿たちを一掃できた後、わりと元気なアズラがカティに聴く。
「うーん、と、たぶん私のオリジナルね。効果はたぶん、詠唱を二つ同時にできる、だと思うわ」
「それは…ずいぶんずるいような…まぁ、助かったからいいか。…三人とも、大丈夫?」
「…速攻で帰らせてもらっていいか?」
「別にいいわよ?ヴァンさんのところには私とアズラで行くから」
「すまねぇ、頼む」
結局、アズラとカティの二人でヴァンの小屋に行くことになりましたとさ…
「おう、無事…ではなかったようだな」
小屋に着くと、出迎えてくれたのはヴァン一人だった。
「まぁ、ね。…あれ?ファルさんは?」
「ファルなら学園に行くと言って出ていった。で、水だったな」
「うん、もらえる?」
「そうだな…そういえばアズラ、君の魔術書、いったい何の本だったんだ?」
思い出したように聞くヴァン。
「あぁ、あれ?古代禁術の魔術書だったんだ。…驚いた?」
「けっこうさらっと言ったな…で、どうしたんだ、その本は?」
「うん、一応学園に預けてきた。だって古代禁術だもん」
「まぁ、それが妥当だろうな。…だが、やはり運命といったところか…」
「何か言った?」
「いや、何もないさ。おっと、水だったな。……ほら、持っていけ」
「ありがとうヴァン」
「ありがとうございます」
「礼ならエリアスにでも言っておけ。あいつ、最近君が来ないから少しすねていたぞ?」
「エリアス?誰それ」
「精霊の泉にいる精霊なんだ。レムと同じ、上級精霊だよ」
「ふーん…会いに行くのはいいけど、マリィにバレないようにしなさいよ?」
「どうして?」
「…本当に鈍感ね…」
「もう救いようがないな、これは」
「なんかひどい事言われてない?」
「どっちがひどいんだか」
「まぁ諦めよう。ほら、さっさと帰れ。薬は今日作るんだろう?」
「うん、ありがとう」
「じゃあな、また来い」
「ただいま戻りました」
「あぁ、遅かったな。学園に何の用だったんだ?」
「私事ですのでお気になさらず。それより、アズラさんたちはいらしたのですか?」
「あぁ。ワイズモンキーにかなりやられたみたいだったな。来たのはアズラとカティだけだった」
「そうですか」
「あと、魔術書の話も聞いたな」
「それはなかなか興味がありますね」
「だろう?あれは…」
こうして、いろいろあった一日は終わるのでした…