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謎の書物、魔術書の秘密5

「マスター、デスカ?」


「お主…まさか…。…じいさんの造ったホムンクルスの残りか…。よく、今まで保ったものだ…」

感動しているのか、うつ向きながら話す錬金術教師。


「マスター、ゴメイレイヲ」


「…親父の開発した制御装置…これをインストールしたい…」

そう言って空間干渉で一つの部品を取り出す教師。


「リョウカイ、イタシマシタ…」

その部品を受け取り、自らの胸に当てるホムンクルス。

その瞬間、その部品が光輝き、吸収されるかのようにホムンクルスの体内に入っていった…




「インストール、完了デス。マスター、次のご命令ヲ」


若干不自然さは残るが、先ほどまでの機械音声とは段違いの人間らしい声になったホムンクルス。

次の瞬間、後ろで縛りつけられていたキメラの麻痺が解ける!


「よーし、初仕事じゃ!あのキメラを倒してしまえい!」

少年のように弾んだ声で命令する教師。まるで新しいおもちゃを買ってもらった子供のようだ。


「了解しまシタ」


返事をすると、一直線にキメラに向かうホムンクルス。


「ギャアオッ!」


その巨体を生かして体当たりをしかけようとするキメラ。しかし、完全に読まれていた。


「残念、デスッ!」


バク宙でサマーソルトを繰り出すホムンクルス。当然そのまま蹴り飛ばすわけではなく、剣に変えてキメラを切り裂く。


「ギャガァッ!」


苦痛に怯むキメラ。そこにホムンクルスの剣舞が炸裂する。


「すごい…」


あの舞に比べれば、ファルの連斬などおふざけに見える。手足一本のみを地に着け、残る三本は剣となりキメラを切り裂いている。


「これにて終演デス!」


剣舞をやめて後ろに跳びあがるホムンクルス。両腕はすでに重火器と変わり、キメラを捉えている。


「発射ッ!」


ミサイルと、大量の銃弾が飛ぶ。それらはすべてキメラに命中し、完全にその機能を停止させた。


「任務、完了デス!」






「…まぁ言いたい事は山ほどあるが、とりあえず礼は言っておこう。すまんな」


「えーっと…先生が来た理由ってもちろん…」


「封印書庫の件、でじゃ」


「あ…ごめんなさい…」


「…いつものワシなら、『許さ~ん』とか怒鳴りちらすだろうが、今日はお前たちのおかげでじいさんの警備用ホムンクルス…えーとGの…何型じゃ?」


「G-06型デス、マスター」


「そうじゃ、G-06型を見つけられたし、親父の『ココロチップ』もインストールできたから、むしろ感謝するべきかもしれん。お前たち、封印書庫に目的があって行くのか?」


「はい、この本の解読をしようと思いまして」

そう言ってアズラは魔術書を見せる。


「…これは古代語じゃな…確かに学園の図書室にはないものじゃ…。よし、封印書庫への入室を許可しよう!」


「ほんとですか!?」


「あぁ、構わんさ。ほら行くぞ!ついてこい、お前たち!G-06!」


「あの、マスター…」


「どうした?」


「ワタシ、型番じゃナクテ、普通の名前がほしいデス」


「急に言われてもな…。おい、お前たち、何か案はないか?」


考える三人。少ししてカティが声をあげる。


「G-06って型番なんでしょ?じゃあそれを使って『ジクス』ってのはどう?」


「ジクス…いい名前デス…ありがとうございマス、えート…」


「カティ、よ。こっちがアズラ。こっちがテムダ」


「では改めまして。ありがとうございマス、カティ様」


「えぇ、どういたしまして」


「じゃあ行くぞ」






「ここが封印書庫じゃ!」


封印書庫の中は一面古く歴史のありそうな本で埋め尽くされていた。


「それにしてもジクスは強いね!」


「ありがとうございマス、アズラ様」


道中、行きに逃げた警備機械が援軍と思わしき機械を大量に連れてきたが、それらを一瞬でジクスはけちらしたのだ。


「そういえば先生?」

カティが質問をする。


「なんじゃ?」


「一番始め、ジクスは私たちを襲ってきたのですが、何かあったのですか?」


「…ジクスの型番が06なのはもうわかっておるな?」


「はい」


「つまり、01~05や、その後ろの型…厳密には07だけじゃが…もいたらしいんじゃよ。ただ、精製に致命的な欠点があって、マスターがいる間は忠実に行動するのじゃが、いなくなったとたん見境なく人間を襲う思考回路になってしまったのじゃ」


「どうしてそんなホムンクルスを造る必要があったのですか?」


「…ある人物に対抗するためじゃ。だが、そのミスが発覚して、ジクス以外の6体は手間をかけて解体された。残るジクスの解体に取り掛かろうとしたとき、そいつの襲撃があったのじゃ。やむなく簡単な封印を施して、一応の安全は保ったのじゃが、いつの間にか封印が解けてしまってな。親父が必死に探したのじゃが、せっかくのじいさんの作品をただ壊したくなかったらしくな、制御装置を造ったのじゃ」


「じゃあどうして先生が…?」


「親父は、その装置を造ったはいいが、病気であっさり逝ってしまったんじゃ。ワシも必死に探したのじゃが、なかなか見つからなくてな…。今日やっと見つかったんじゃ…」


「そうなんですか…」


「おーい!みんな、解読書が見つかったよ~!」


遠くでアズラが叫んでいる。


「あの本のタイトルはワシも少々気になっておるし、行くか?嬢ちゃん」


「はい」






「じゃあ、読むね…。えっと、エ、ン、シ、ェ、ント…バ、ンス、ペ、ル…」


「エンシェント・バンスペル…古代禁術じゃと!?」




―運命の書物は、禁止された魔術だった―

次回より第十章。魔術祭の時期です。

次回はお待ちかね(?)薬学です。

そして章末イベントでは学園に隠された秘密、それがついに明らかに!?

お楽しみに。

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