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そして別れの刻

「レム!いける!?」


「まぁ、不可能ではないさ」


急に現れたオルトロスに対応するべく、とりあえずレムを召喚するつもりのアズラ。その判断はどう転ぶか…


「召喚、黄金の雷帝、レンドラーク…」


アズラがそこまで宣言した瞬間、オルトロスがアズラに向かって噛みついてきた!

とっさに召喚を中断し、攻撃を避けるアズラ。召喚を中断されたレムは猫状態に戻ってしまった…。


「ぐわぁっ!」


オルトロスの噛みつきをもろに受け、派手に吹き飛ばされるレム。召喚されていない状態では、魔術を使えるだけのただの猫だ。

オルトロス――二つの頭に六本の足を持ち、凶暴な外見に見合った強力な攻撃力を発揮する魔物だ。上位種のケルベロスに至っては、三つの頭に八本の足、挙句は心臓が二個ある信じられない魔物だが…。


「レムッ!」


急いで召喚しようとした事が完全に裏目に出てしまったアズラ。切札を失ってしまったのだ…。


「アズラさんっ!」


ソフィアの声ではっ、と上を見る。なんとオルトロスはその巨体を生かして思いきりアズラを潰そうとしてきたのだ!


「《空間転移!》」


とっさに空間干渉で移動するアズラ。間一髪、といったところで、踏み潰されずに済んだ。


「大丈夫ですか!?」


アズラはソフィアの近くに転移した。そのアズラに声をかけるソフィア。


「うん…ありがとう…」


「あの…「…大丈夫、何があっても、僕が君を、守るから…」……」


状況によってはプロポーズともとれる言葉を残し、零を片手にオルトロスに向かうアズラ。


「やあっ!」


強化術をかけ、掛け声と共に片方の頭を斬る。

かなりいい当たり方をしたのか、片方の頭が一時的にひるんだ!

しかし、相手にはもう一つ頭があるわけで…


「がぁっ…」


二本の足で地面に押さえつけられてしまった…


「くそっ…このっ…」


必死にもがくアズラ。しかし巨大な獣に敵うわけもない…


「ガアッ!!!」


大口を開けて、アズラに噛みつこうとするオルトロス。絶対絶命だ…






そこに一本の矢が飛んでくる…。それはオルトロスに直撃する…



「…第一紀の魔物の分際で…調子に乗るな…」


弓を構えて冷たい雰囲気で言うソフィア。

矢の放ち手は、助けに来たカティではなく、戦えないはずのソフィアだった…


「ソフィ…ア…?」


矢のおかげでなんとか抜け出せたアズラも目を疑う。

さっきまで優しく、温かい少女だったソフィアが、今は非情で冷たい存在に変貌している。


テムダとの打ち合いに使っていた物ではない美しい黄金の剣を持ち、オルトロスを駆け抜けながら斬る。


「ガギャァッ!?」


それだけ十分な致命傷だったが、追い打ちとばかりに宣言した…


「消えろ…《ロスト・オーバーロード…》」


ソフィアの手のひらから大爆発が起こる。当然、ほとんど虫の息だったオルトロスが耐えられるわけもなく、完全に息絶えた…




「ソフィア…?」


「あ…あれ?私…いったい…」


どうやら何も覚えていないらしい。


「いや、ソフィアがオルトロスを倒したんだよ?」


「そんなご冗談を。私にそんな力があるわけがありません」


「じゃあさっきのは…?」


不思議に思ったアズラが首をかしげる。


その瞬間、ソフィアの指輪は輝き出した…


「ソフィア?」


「あ…ロスト、集まっちゃったみたい…。ありがとう…そしてさようなら、アズラさん、ここで…お別れだよ…」


指輪から発生した光の渦がソフィアを包み込む…


「え!?いったい…」


そこにカティとテムダも駆けつける。


「二人とも!ソフィアがおかしいんだ!」


「おい、どうした!」

「ソフィアちゃん、大丈夫!?」


「カティさん、テムダさんも、ありがとう…。私はやっぱりこの世界には居れないの…。私はこの世界の住人じゃないから…。…うん、ほんとにお別れの時間が来たみたい…。…じゃあね、みなさん…楽しかったよ…。できればまた、会えるといいな…」


そう言って渦ごと、ソフィアは消えてしまった…




「ソフィア…いったい何者だったんだろう…?」


「ほんとに短い間だったけど、私たちの友達よ…」


「そういう事だ。…行こうぜ…」


「うん…」


初めての宝物庫探索は、不思議な出会いと別れのあった忘れられない冒険になった…。

いきなり現れてすぐにいなくなったソフィアちゃん。え?何者なんだって?…さぁ…?

それはおいといて次回より章末イベント。ついに明らかになるアズラくんの魔術書の内容。その内容とは!?

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