消失する力、ロスト
「悪いな、ここには俺たち以外は魔物しかいないと思ってて。…本当に悪かった」
「いえ、大丈夫です。ちょっと困った事になりましたけど、怪我はなかったので」
「困った事…?」
「はい、『ロスト』がなくなったので、しばらく戦えないのです」
「「ロスト…?」」
初めて聞く単語に戸惑う二人。
「なぁ、さっきから思ってたんだが、『ロスト』ってなんだ?えっと…嬢ちゃん」
そこで三人は少女の名前を知らない事に気づく。少女もまた然り。
「あ、私はソフィアといいます。十五歳のスクール所属です」
「僕はアズラ。よろしくね」
「カティよ」
「テムダだ」
一通り自己紹介が終わったところで話が戻る。
「で、ソフィア、『ロスト』ってなんなんだ?」
「えっ、みなさんロスト知らないんですか!?」
一同首を縦に振る。
「じょ、常識―」
そこまで言うとソフィアはふと考える。
(もしかして、私違う世界に来ちゃった?なら、ロストの事知らなくて当たり前だよね?そもそも私ヘンナコ扱いされるよね…)
「常識っても、俺たち全員知らないし、学園の中にもわかるやつあまりいないと思うぞ?」
「そ、そうですよね!私の家の中の常識なんです!知らなくて当たり前です!」
「家…?」
「はい!私のおじいちゃん研究者で、えーと、不思議な力を開発して、それをロストって名付けたんです!」
「要するに魔術師じゃないってことね…わかったわ、出口まで極力私たちが守るから、一緒に行きましょう?」
「ありがとうございます!」
(あれ、でもこの場所にもロストはある…?じゃあなんとかなるかも…)
「行くわよーソフィアちゃんー!」
「あ、はい!」
「まったく見つからねぇなぁ…」
「そうね…」
そこから数階移動したが、脱出の魔法陣は見つからない。
もちろん、目的の魔法武具も見つからない。
「そういえばソフィアちゃんはどうやってここに入って来たの?」
「確かに、学園の生徒じゃないんだったらここには入れないし、そもそも一緒に入った覚えもないよね?」
「あ…それは…」
再び考える。
(どうしよう…いい人たちなんだけど、この技術の事って言っていいのかな…?)
「どうしたの?言いにくい事、聞いちゃった?」
「いえ、大丈夫です。えーと、おじいちゃんの研究結果の一つなんですけど、この指輪のせいです」
そう言ってソフィアは指輪を一つ見せる。
「この指輪にはなんだかワープ能力があるみたいで、万が一そのエネルギーがなくなった…万が一ですよ?近くのエネルギー密度が高い場所に離脱するみたいなんです。…はぁ…やっぱりおじいちゃんの研究結果はあてにならないなぁ…」
呆れた様な顔をしながら、ため息をつくソフィア。
「あはは…大変だね…。じゃあここを出れたら学園に言ってなんとかしてもらおうか」
「はい、ありがとうございます!」
最近ストックが少しずつ減ってきています。ちょっと怠けているのが悪いのですが、眠いですしやること多いですし…。
まぁ更新にはたぶん支障は出ません。たぶんですよ…。