戦慄、魔物部屋!
「ここが入り口だよ」
シェルに連れられて宝物庫の入り口に来たアズラたち。…まわりに人はいない。
「それにしても三年の頭で来るなんて、がんばるね。普通は後半くらいに来るものなんだけど…。まぁ、君たちなら大丈夫だよ、じゃあね」
そう言うと、来た道を戻るシェル。
「じゃあ入ろうぜ」
「みんな一緒に、だったわね」
「じゃあ行くよ。せーのっ!」
無事に同時に入れた三人だった…。
宝物庫の最初のフロア。三人の状況をテキストで表示するとこんな感じだ。
『モンスターハウスだ!!!』
「何これ!?これが噂に聞く開幕モンハウ!?」
…詳しいな。
「なんだモンハウって!?」
「モンスターハウスよ!魔物がいっぱいで、道具やワナもいっぱいの部屋。開幕だと逃げ場がなくてよく倒れるのよ!」
…ほんとに詳しいな…。
「じゃあ変に動くと危ないんだね!?行くよ、『零』!《テンペスト!》」
零を具現化して迎撃しながら、テンペストで一気に魔物を殲滅しようとするアズラ。
しかし…
「ガウッ!」
「うそっ!?」
学園では一番弱いと言われているウルフが、雷属性上級魔術のテンペストを耐えたのだ。学園内では考えられないことである。
「《行けっ!》」
間一髪のところでテムダの投影が入る。数本の槍がウルフを壁に串刺しにした。
「ありがとテムダ…って危ない!」
「うおっ!?」
自己防衛を少し怠ったテムダにレオが襲いかかる。
「《凍って!》」
カティが指輪の力を使って守る。凍りついたレオはそのまま地面に落ちると…?
カチッ、ドカン!…落ちた場所にあった鉄球が飛んでくるワナで粉々に砕けた…。
「怖っ!」
「それどころじゃないよ!召喚、《エルフ!》」
「《ダイダルウェイブ!》」
死闘は続く…
「ちっ…またハズレか…」
1階のモンスターハウスを何とか突破した三人、いろいろ物を見つけてはいるが、今の三人には取るに足らない物ばかりだ。…もっとも、魔術祭で売ればいいお金になるかもしれないので、拾っているが。
「確かにもっとごろごろある物だと思ってたけど…」
「ちょっと期待外れね…」
「仕方ねぇ、もっと探そうぜ…って、うわっ!?」
カチッ、という音がして、テムダが光に包まれる。転移のワナだ!
「「テムダ!?」」
二人が見た時にはもうテムダの姿はなかった…。
「行くわよ、アズラ!」
「うん、急ごう!」
「あいててて…」
テムダは別の地点に強制移動させられていた…。
そのさきには…?
「あれれ?もしかして『ロスト』なくなっちゃった?」