不思議の始まり
「なぁ…最近俺思うんだけどよ…」
「なに?」
「どしたの?」
「俺にだけいい魔法武具がないのはなんでなんだ!?」
「あれ…そういえば…」
「なんでかしら…?」
いつものように集まった三人。ただ最近はみんなの残っている授業がバラバラで、一緒に授業を受けるのは難しくなっている。
「あー…それじゃ『アウレスの宝物庫』に行ってみる?」
「確かにあそこなら、いい魔法武具があるかもしれないわね…」
「行こうぜ!」
「まぁ興味はあるし…」
「行きましょうか…?」
「ん、宝物庫に行くのかい?」
とりあえずシェルの部屋に来た三人。場所とか内容とかを質問しに来たのだ。
「場所は…後で連れて行ってあげるよ。構造は…説明しにくいね…。簡単に言うと、ほら、ちょっと前に流行ったあれ、『不思議のダンション』に似てるかな…」
…今も流行ってるかもしれないけど…
「「不思議のダンジョン…?」」
アズラとテムダの二人がわからないといった顔をする。普通の男の子は知っているはずだが、若干裕福なアズラと若干貧しいテムダには、ゲームをする機会があまりなかったようだ。
「あれでしょ?『試練』とか『取る猫』みたいなやつ」
「そうそう、よく知ってるね」
以外である。
「ヴェクがやってたのよ。なんだか『呪われたー!』とか『うげっ、モンスターハウスだー!』とか騒いでたけど…」
「そこまで知ってるなら話が早い。つまりそれそのものかな。魔法武具とか精霊の存在もランダム、魔物の配置や宝物庫の構造もランダム。そんな地域さ」
「注意することは?」
「まず、同行者は一緒に入らないとダメ。別の空間に飛ばされるから。
次に、中には当然魔物がいるけど、外見で判断しちゃダメ。普通よりかなり強くなってるから。
最後に、一番大事な話で、出る時は脱出の魔法陣を使わないとダメ。緊急帰還はできるけど、アウレスの遊び心か何か知らないけど、不当な手段で出ると拾ったものとか契約した精霊とかが無効にされるんだ。…迷惑な話だよね…」
「アウレスってほんとにすごい人なんだね…」
「若干変な人なのかもしれないけどね…」
「じゃあ行こうか、ついておいで」
そう言って先導するシェル。ついて行く三人。
この時はまだ、中で何が起こるか知るよしもなかった…。