看護は優しく!連行も優しく!?
アズラが倒れた日の夜、アズラの部屋―
「なんだ…?少しやつれたか…?」
「うん…。異世術の授業でちょっと…」
「…死の怨霊にでもやられたのか…?」
「!?…なんでそれを…?」
「…正体隠して生活していた間も、お前の状態はしっかり見ていたからな。お前に怨霊が取り付いていた事なんてハナからわかっていたさ」
「そんなの先に教えてよ!危うく死ぬところだったじゃんか!」
「まぁそう怒るな。主人からの言いつけでな、『魔術に関しては、あいつが気づくまで何も言うな。気づいたらヒントや答えを教えてやれ』とさ。だから教えなかった」
「そんなぁ…」
「まぁそう落ち込むな。生きているから大丈夫だろう?…ほら、客だぞ?」
「客…?」
ドアを見る。しかし音も気配もない。
窓を見る。同じく音も気配もない。
「レム、お客さんなんて…」
「忘れたのか、アズラ、この部屋にはもう一つ出入口があるだろう?」
「…まさか…」
「アズラ様ぁ~!」
お忘れかもしれないが、この部屋には相互転送の結界があるのだ。
アズラに思いきり抱きつき、ベットに倒れるマリィ。…けっこう力が強い…
「アズラ様!異世術の授業で倒れたってほんとですか!?」
「う、うん…本当だよ…」
「じゃあ今晩はマリィが手厚く看病してさしあげます!アズラ様の希望要望ならなんでもお応えします!…ちょっとくらいなら間違いを犯しても構いませんし…むしろ盛大に間違えてください!」
「何言ってるの!?助けてレム…っていない!?」
いつの間にかレムは忽然と姿を消していた…。
「病人は寝てないといけません!」
「普通に寝かせる気ないでしょ!?誰か助けて~!」
結局、アズラの奮闘のおかげで間違いは起きませんでしたとさ…。
で、そんな次の日…
「アズラ~、聞いたよ~!」
「……異世術で…気絶したんだって……?」
「エンカ!サクヤ!」
…ちなみに『気絶』というレベルではなく、ほとんど『死にかけ』だという事は二人は知らないようだ。
「だからアタシたちが!」
「……アズラの幽霊嫌いを克服するため……」
「「死霊の大樹に連れて行きたいと思います!」」
「ちょ、ちょっと待って!」
さすがのアズラも2対1では勝ち目がない。ズルズルと引きずられていったのだった…。
やっとテストが終わりました!今日で平日に変な時間に更新するのは最後になります!どうかこれからもよろしくお願いいたします!