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現代SAMURAI異世界を斬る  作者: セイホウ
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回復魔法

折れたのはトリトスの槍であった。元々質が良くない上激しい攻防戦で限界だった

のだろう。ギラリとブラッドの目が光る。


「クッ、こンな時ニ折れるトは!」


 柄だけになった槍を捨て、すかさず腰のショートソードを抜くトリトス。しかし向こうの方が僅かに早い。


「もらぁったー、喰らいやがれ!」


 この千載一遇のチャンスを逃してなるものかと襲い掛かってくる。


゛ガガアッ!゛


 間一髪で盾による防御が間に合う。すかさず剣を薙ぎ払い反撃するが既に奴は

後ろに下がっており虚しく空を切る。


「後悔する時間がきたようだぜぇ」


 既に自身の勝利を確信したのだろう。多少落ち着きを取り戻しそう言い放つ。


「まダ勝負は着いテいなイぞ」


 剣を前に突き出し応じる。本当ならば盾を前に出すはずだが先程の攻撃で右手

が思うように動かない。

 ならば片手でこの男の猛攻を凌ぐ事ができるだろうか。いいや無理だ、受けに

回ったらまず負ける。ならば自分から打って出る以外にない。意を決して向かっ

て行こうとした時突風が両者の間を駆けていった。




 追撃に回ってきた奴らはそれなりに腕の立つ連中だった。その為加勢に入るのが

遅れてしまった。幸い誰も馬車の方には向かっていなかったのでミュラ達の加勢に

入ろうとしたが


「こっちは大丈夫だ。それよりもリザードマンの援護に向かってやれ」


「だいぶ苦戦している様です、早く行ってあげて下さい」


 二人にそう言われトリトスの方を見ると槍を失い剣のみで対峙している姿があっ

た。これはマズイと思い急行する。


「分かった、ここは頼んだぞ」


 右手を軽くあげ応えるギラン。つーかコイツ自己紹介以外ではじめて喋ったな。

あまり話好きではないのかもしれん。そう思いつつ村雨を振るう。


「チィッ、またお前か魔法使い」


 不意打ち気味に放ったのにかわされてしまった。まあこれで打ち取れるとは思っ

てない。距離を取らせるのが目的だ。当たればラッキー程度だ。


「最初に俺を狙ってきたのだろう?お望み通り()()でやるよ」


 遊んでの所を強調し挑発しつつトリトスを下がらせる。


「この野郎調子に乗るなよ、魔法使い風情が剣で俺に勝てると思っているのか。八

つ裂きにしてやる!」


 思ったよりも簡単に挑発に乗ってくれた。てか何でさっきからコイツ俺のこと魔

法使いと言ってんの?どう見ても剣士だろうが。


 裂帛(レッパク)の気合と共にカタールが振るわれる。俺もそれに合わせて村雨を振るう。


゛ガッキ~~~ン!゛


 激しく刃と刃がぶつかりあう。そしてカタールの刃が宙を舞う。奴は一瞬驚愕の

色に染まるがもう片方の刃で切り付けてくる。流石に早い、迎撃は間に合わないの

で今度は防御する。


゛ポキ----ン!゛


 先程よりも甲高い音を立てて再び刃が宙を舞う。


「ば、馬鹿なっ。ミスリル製の武器だぞ、それが何故こうも容易く折れる!」


「手入れが下手だったんじゃないの?」


 悪びれずしれっと答えてやる。ぐっと悔しさをにじませながら腰から何かを取り

出し地面に叩きつける。一瞬爆弾かとヒヤッとしたが煙幕だ。


「野郎共撤退だ。固まって逃げるな、例の場所で落ち合うぞ!」


 そう言って煙に紛れて逃げ出す。追撃の為村雨を振るうが奴には当たらず運の悪

い手下の一人に当たったようだ。


「ギャーッ!」


 断末魔の叫び声だけがした。煙はすぐに晴れたがこちらも無理に深追いはせず、

傷を負ったトリトスの様子を見に行く。見ればバックラーは割られ腕も半分落ちか

けている。


「すまナい旦那、しくじッちマった」


 どうにかならないものかと騎士達のほうを見ると一人の魔術師が仲間に回復魔法

をかけていた。


「こっちにも怪我人がいるんだ、治療を頼む!」


「わかったわ、まず仲間の手当てを終えたらそちらに行くわ」


 断られるかもしれないと思ったが杞憂だったようだ。一応血止めのため傷口付近

を布でしばっておく。しばらくして治療を終えた魔術師が数人の騎士を伴い此方に

駆けつけてくれる。


「今回窮地を救ってくれて感謝する。私は騎士団長のフィリップだ。そして彼女が

治療術師のミレーユだ。怪我をしているのはリザードマンの彼?なのか?」


 何故か疑問形だったが、外見で雌雄の区別は難しい種族なのだそうな。


「そうだ。腕がもう少しで落ちそうなんだ。治りそうか?」


「ええ大丈夫よ、切り落とされた足でもくっつけて治療した事があるから。」


 サラリと言ってのけるが切られた足を繋げるなんて、現代の医療でも簡単な事

じゃないんだよな。でもそこまで言い切るなら安心だなと思っていると


゛ドサッ゛


 何と治療術師がふらつき倒れてしまった。よく見れば顔色が悪い、顔面蒼白と

はこういう状態意を指すのだろう。


「ミレーユ、大丈夫か!?」


 すかさずフィリップが抱きかかえる。


「一体どうしたんだ、彼女は無事なのか」


「魔力欠乏症だ。1日あれば回復するがそれまでは…」


「あの、他に治療術師の方はいないのでしょうか?」


 おずおずとミュラが尋ねるが


「残念だが彼女一人だ。それにポーション等の類も先の戦闘で使い切ってしまっ

た。テンペの村には治療術師はいないしたいした薬もないだろう。

 伯爵領には早馬でも半日はかかる。このままでは出血多量か壊死かで死んでしま

うだろう。…残念だが腕を切り落とし傷口を火で閉じるしかない」


 くっ…ここにきてなんというオチだ。盗賊の頭目を一手に引き受け自由にさせな

かったから撃退することができたのに!せめて俺にも回復魔法が使えれば…


 そーいえばさっき何で何度も魔法が使えたのだろう。がむしゃらに放っていたか

らあまり気にも留めなかったが…


「たしかグレイウルフが使っていたのを見たからだよな。まさか?」


 ダメで元々、先程ミレーユが行っていた回復魔法を浮かべてみる。すると眩しい

までの光に辺りがつつまれた。




殺害数が一定に達したため攻撃力+1 妖刀村雨 攻撃力502




      水上ミナカミ 正嗣マサツグ  異世界人

    年齢 24 性別 男 属性 無 Lv 2


      HP150  MP150 


腕力110 体力110 魔力110 防御力110


抵抗力110 敏捷110 器用110 運-20


  新たな魔法習得  風魔法   回復魔法


 次回伯爵との対話や奴隷達の処遇についてです。

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