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現代SAMURAI異世界を斬る  作者: セイホウ
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いざ交戦

 3日目以降も同じように投石が行われた。4日、5日と続き一週間経った今もそ

うである。


「本当に帝国はここを落とす気があるのかしら」


「あれだけの軍を率いているんだからそりゃねーだろ。もしかしたら増援待ちだっ

たりするかもな」


「なイ話ではナいな。しかしグズグズしていレば此方にも援軍が到着してしマう事

は向こコうも十分承知のはズ。それなノに悠長ニ同じ事の繰り返しとハ一体何が狙

いナのかが分かラん」


 トリトスの言う事ももっともだ。もしかして敵は公爵が援軍を出さないと高を

括っているのか。もしくは出す事はないと確信する何かを知っている…?ともかく

まだ辛抱する必要があるな。


「それよりもミュラの姿が見えないな」


「あの子ならさっき宿に卵の様子を見てくると言って出て行ったわよ」


 妙にロックベルの卵に執着しているな。宿の釜戸の1つを借りて温めているそうだ。


無事に孵化すればいいがどうなるか俺には分からん。幸いポルックスから紹介され

た魔物使いも一緒にいてくれているようなので何とかなるだろ。




 ここからははうって変わって帝国側の陣容になる。


「防壁の様子はどうだ?」


 側で控える副官に戦況を聞いた。


「この一週間届かぬ投石ばかりしているせいで大分困惑している様です」


「そうだろう、此方が一向に攻めてこないからな。もう一週間程同じ攻撃を続ける

ように各将兵に伝えろ」


 かしこまりましたと一礼して天幕から伝令が走っていく。俺は帝国陸軍師団所属

の大尉だ。親父は帝国内でも屈指の名将と謳われており長兄次兄も優れた軍人であ

り既に武勲をいくつか立てている。


 方や三男坊で末っ子の俺は階級こそそれなりに高いものの、全て父や兄達の威光

であり自身で何かしらの手柄を立てた訳ではない。本当なら今回の遠征にしたって

上の兄が出陣する予定だった、そこを無理を言って代わってもらい父からも軍を借

り受けている。


「どうやら作戦は順調に進んでいるようですな」


「最初にここに到着した時は、向こうの迎撃態勢が整っているのには少々驚いたが

な。しかし最初だけだ、何故か近隣の村町には人気がなかったがかえって手間が省

けた。そこを含め他の場所は制圧して住人は勿論、行商人等の入ってくる者の出る

事を禁止している上に…」


「ここや子爵から出された援軍要請の使者達も全て排除しているため異変に気付か

ない。よしんば気付いたとしてもそれは相当後の事でありその頃には…」


「既に我々によって攻略済みという訳だ。王国軍は嫌でも次の戦いはあの大平原で

行わねばならなくなるという訳だ」


 俺は次に戦う事になる平原に目を向けた。必ずや手柄を立てて兄上達に追いつい

てみせる。その為にはまず眼前の街を落とさねばな、自然と来るべき輝かしい未来

を想像して口から笑みがこぼれる。


「よし俺も少し前線を視察しておくか」




 帝国との戦いが始まり10日が経った。戦いと言っても向こうは相も変わらず石

ころばかり飛ばしてくる。一体どこから集めてくるのかしらん。ん?後ろは山だか

ら少し足を伸ばせば手に入るだって、そりゃそうだなアホな事言った。


「伯爵様がおっしゃっていた10日が経っちゃいましたね」


「マあ最短でト言う事だッたからナ。2週間は見とイた方がいイ」


「じゃあまだじっとしておかないといけないの。もうっ、ミックさんお酒持ってないの」


「しーーー声が大きいって、酒の減りがやけに激しいというので酒造の警備が厳重

になってんだよ。俺だって飲みたいの我慢してんだ」


 それは自業自得ではないのか。と言うか多分バレていると思うぞ。戦時中だし俺

のクランだから見逃されているだけで、終わったら雷が落ちるんだろうけどな。


 ~~~そして戦いが始まって2週間後~~~


「…経ってしまったな2週間。ヒマだからしりとりでもしようぜ」


「じゃあ私からいくよ、゛つえ゛」


「え、゛えび゛」


「゛びチく゛」


「くかぁ~、じゃあ゛くつ゛」


「゛つまらん゛」


「自分で言い出しといてそれはないでしょ!あとリーダーの負けっ、だからお酒を

もらってきて」


「別に何を賭けるか決めてないし、別に俺飲まなくても平気だし」


「俺からもお願いしますよ~、ここ何日も飲んでないんで調子が出ないでさぁ」


「「お願い~~~。」」


 二人して擦り寄ってくる、ウザイそしてミックはキモイ。


「分かった分かった、衛兵隊長に話して許可をもらってくるから。その代わり許可

が下りなかったら諦めろよ」


「やったーこれで

        ゛酒が飲める!!゛」

「よっしゃーこれで


 以外にもあっさりと許可は下り小振りながらも1樽受け取る事ができた。そして

吞兵衛共はその日のうちに飲み干してしまった。…もはや何も言うまい。


 ~~~さらに戦いが始まって3週間後~~~


「一向に援軍が来ませんね」


「もしかして援軍要請が届いてないんじゃねえ」


 何気ない俺の一言にトリトスが神妙な面持ちでそうかもしれないと呟いた。


「考えてモみろ、伯爵様は自信満々で援軍は来るト言い切ってイたんだ。それガこ

れだけ待っテも来ないとナると途中で揉み消さレているトみていいダろう。それを

向こうハ知ってイるから悠長に構えてイるんだ」


「じゃあこのまま籠城戦に持ち込む気なのかな」


「そこマでは考えてイないだろウ。行商や依頼で商人や冒険者が何時まで経ってモ

帰ってコなけれバ疑問を抱き密かニ様子を探る者が出てクる。隠し通せても3ヵ月

が限度だト思う、それマでには決着をつけニくる」


 それに籠城している味方を見捨てるのは将兵の士気を大きく下げるそうだ。そ

りゃ閉じこもって踏ん張っているのに王国は助けてくれないんじゃそう思うのは当

然だ。


 助けがないと分かれば他の諸侯は直ぐに降参してして寝返ってしまうもんな。俺

でもそうすると思う。一方向こうは今日は投石を止めてお休みの様だ。何回かこう

して何もしてこない日もある。こう言ってはなんだが戦争ってヒマなんだな。


 しかし、そう思えたのもその日までで翌日は遂に戦を文字通り肌で体験する事と

になる。


「皆起きてくれ!急いで西門に急行するんだ、投石機が全て集中している。ここに

は最低限の人員を残して向かうんだ!」


 まだ夜明け前の防壁にけたたましい哨戒音が鳴り響く。言われた通り急いで西門

に向かうと全軍が集まっている。しかし一体いつの間に移動したんだ、夜間とはい

えあれだけ大勢で動けば流石に気付くはず。連日の投石の繰り返しはマンネリ化さ

せて此方の油断を誘う為だったのか。


「おおマサツグ殿来てくれたか、帝国軍は西門に狙いを定めてここに戦力を集中し

てきたようだ。攻撃を凌ぐ為にも力を貸してくれ」


「もちろん!ですが何故このような事になったのでしょう。あれだけの数で動けば

誰か気付くはず、まさか転移魔法とか…?」


 ひょっとして敵に凄腕の魔術師がいるのではと思い訊ねてみた。


「いいえ、そんな事をすれば普通に動くよりも目立つわ。なにより魔法を使ったら

私達魔力に敏感なエルフはまず気付く」


 じゃあどうしてと言葉を出そうとしたがその前に敵からの攻撃が始まった。


「投石が来るぞ!皆建物の陰に身を隠せ」


 警告と共に俺は障壁の魔法を展開する。ソフィアも同じ事を考えてたようで二重

の守りとなった。幸い直撃こそなかったがかなり近い所に着弾した。もしや飛距離

が伸びている!?いや今までが加減して撃っていたのか。


「しかし確実に昨日よりは前に出ているな。そこは既に俺の射程圏内だ」


 障壁から氷魔法に切り替え敵の攻城兵器に向かって放つ。見事命中し轟音をたて

て崩れ落ちる。゛オオッ!!゛と歓声が湧きおこる、さあ反撃といきますか。


 遂に戦いの火蓋が切って落とされた。本格的に投石機で攻撃を繰り

出してくる帝国。必死に守りを固め迎え撃つが耐え切れるのか。

 次回反撃の狼煙が上がる!?

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