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現代SAMURAI異世界を斬る  作者: セイホウ
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奴隷達との会合

 突然大きな馬車の方から声がした。良かった生き残りがいたようだ。いそいそと

馬車の方に近寄ってみる。


「窓がある様だがそこは開くのかい?」


 そう問いかけると゛ガタガタッ゛という音と共に窓が開く。するとそこにはイグ

アナのような、それでいて凶悪そうなツラがあるではありませんか!


「「うぉつ!!」」


 お互い驚きの声をあげる。何で向こうも上げるのかと思ったが、今自分が付けて

いる黒鬼の面もどっこいどっこいの凶悪さだったな。さっき刀を鏡代わりに見たか

ら分かるよ、ウン。取り敢えず仮面は外して


「乗っているのはお前一人か?」


「イや、違ウ。俺の他に10人乗ッてイる」


「全員同じ種族なのか?」


 再びそう問い掛ける。もしこんな奴らばかりだったら置いていこうかな。開けた

瞬間またバトルになったら嫌じゃん。


「人間ガ大半だ。女子供もイる。頼む、助ケてくレ」


 嘘は言ってはないだろう。暗くて見えづらいが何人かいるのが分かる。ジッとコ

イツを眺めていると



        トリトス  竜鱗族リザードマン

年齢 26  性別 男  属性 水  Lv 23




 と、目の前に浮かんできた。んん?ウルフ達は名前とレベルしか表示されなかっ

たのに今は年齢、性別、属性が現れている。疑問には思ったがまずはトリトス達を

ここから出すのが先決だ。扉らしきものは見当たらないが鍵穴なら見つけた。


「少し待ってろ、すぐに出してやる」


 そう言い残し俺は小さな馬車の方へ向かう。しかし見つかったのは水と食料、後

は奴隷の売買契約書位だった。小さな子供達ですら頑丈な檻ような中に閉じ込めら

れていたので、薄々そうではないかとは思っていたが…しかし肝心のブツが見つか

らない。


 気は進まないが奴隷商人と思わしき死体をまさぐるしかない。気分は悪いが鍵自

体は懐にあったのですぐに見つかった。ベッタリと血がついていたがな。ついでと

ばかりに小袋に入っていた金貨と指輪も頂戴しておく。


 これ知らない人が見たら強盗殺人に見えるだろうな。思わず周りをキョロキョロ

してしまう。


「鍵が何本かあるが一番大きいコイツかな?」


 鍵穴に差し込み回してみる。ガチャリという音と共に解錠される。1発で当たり

だが入りそうな大きさがコレしかなかったので当然と言えば当然か。他は小さめな

のばかりだしな。


「少し離レてくれ。その位置デは危なイ」


 そう言われ少し後ろに下がる。ゴゴッと聞こえると同時にドアが上へと開く。


「ああナルホド、そうゆう仕組みか。道理で扉らしきものが見当たらない訳だ」


 一人で納得していると中からトリトス達が出てきた。


「有難ウ助かッた。正直もウ駄目かと思ってイた」


「あんたは命の恩人だ」 「有難うございます!」 「お兄ちゃんありがと」


 次々とお礼を言われる。しかしそのいで立ちは全員首輪に手枷、足枷というもの

だった。すぐさま他の鍵を差し込み外していく。


「ん?首輪だけ外れないな」


「それは奴隷紋を刻んであるため正式な手順を踏まないと外せないそうですよ」


 自分のつぶやきとも取れる質問に女の声で答えが返ってきた。声の主を見ると




       ミュラ  人狼族ウェアウルフ

年齢 18  性別 女  属性 風  Lv8




 やはり先程と同じだ。つか自分より皆レベル高いな。もしかして俺ってば弱い?


「そうか…因みにこの契約書を燃やしても解除されないのか?」


 動揺を隠しつつ再び質問してみる。すると今度は別の男が


「いや、そんなことしても無駄だぜ。契約書は売り手側にもある。奴隷がそこに書

いてある金額を払い終えれば奴隷紋の解呪師が、買い手側の契約書を通じて売り手

側の契約書も破棄する仕組みになっている。

 どちらか片方を燃やしやり破いたりすればもう片方に異変が知らされる。まあ、

逃亡奴隷扱いになるってこった」


「ならもう片方も破いてしまったらどうなる?」


「それは分からねぇ。だが直ぐに指名手配書が配られ場合によっては賞金首にもな

る。そうなれば騎士団は勿論の事、冒険者達も血眼になって探そうとするぜ。当然

街にはいられないし見つかれば死罪だ。

 あとは盗賊になるか野垂死ぬかのどっちかだな。それと自己紹介が遅れたな俺ぁ

ミックってんだ、助けてくれてあんがとな」


 ミックと名乗った男は少々胡散臭い感じだが色々とモノを知っていそうだ。


「そうか、俺はマサツグという。色々聞きたい事はあるが先程の狼たちが戻ってこ

ないとも限らん。そろそろ出発しよう」


 倒れている冒険者と思わしき者たちから武器を拾う。防具は破れていたり血に濡

れたりで使い物になりそうにない。唯一盾が使えるぐらいだ。戦える者はそれぞれ

得意とする獲物をそうでない者でも短剣は渡しておく。


 皆が武器を選んでいる間に俺は小さい方の馬車が使えないかと引いてみることに

した。…少し重いが動かせるな。


「この道を進んで行けばテンペという村があると奴隷商人が言っていました」


 俺が街に行きたいんだがと聞くと、答えてくれたソルトという男は奥さんのシュ

ガーと共に盗賊につかまりそのまま奴隷として売られたそうだ。

 

 因みに奴隷たちの面々はリザードマンのトリトス、ウェアウルフのミュラ、同じ

くウェアウルフの少年カイとドワーフのギラン、猫人ケットシーの少女ニケ、後は皆人族で

ミック、ソルト、シュガー少年のケビンとピーター、少女のアナスタシアである。


「1つ気になってたんだが皆首輪の色が違うな。何か基準でもあるのか?」


 最初は性別や年齢、もしくは種族で別れていたのかと思ったがてんでバラバラな

ので聞いてみた。


「黄色は一般奴隷だ、一番多く見られる奴だな。ここにいる六人がそうだ。青が戦

闘奴隷でトリトスが付けてあるやつだ。

 赤は愛玩奴隷でミュラやニケがそうだ。そして黒は…言いにくいが犯罪奴隷だ。

俺やギランがそうだな。

 あと滅多にいないが白の特殊奴隷ってやつがある。高度な回復魔法を使えたり収

納術を持ってたりとな。例えば戦争で負けて捉えられた高位の貴族なんかがこれに

該当しやすいな。

 まあそんな技術を習得してればそもそも奴隷なんかにならないだろうし、余程の

事情がなければ現れないけどな」


「ちなみにミック達は何で犯罪奴隷になったんだ」


「貴族ばかりを狙って盗みを働いてな。死罪を免れる為に今まで盗んだ品の在りか

を教える代わりに奴隷になったんだ。ギランはよくいちゃもん付けてくる役人をぶ

ん殴ったみたいで、しかも打ち処が悪かったみたいで死なせたようだぜ」


「そうか…言いづらいことを聞いてすまんな。ところでトリトスはなんで奴隷に

なったんだ?」


 ちょっと空気が重くなりそうだったので今度は隣で共に馬車を引くリザードマン

に尋ねてみた。


「冒険者時代ニ依頼を失敗してナ…全額返済ガ出来ずニ奴隷落ちにナった」


「ペナルティーが科せられるのか。先程ミックの話の中でも出てきたが冒険者には

誰でもなれるのか?」


「15歳以上でアれば基本なレる。例外は奴隷だトなれなイな、マあメンバーに冒

険者ガ居ればイイからあまリ意味は無イがな。因ミにランクがあリS~Fまでノ7段

階だ」


 背中にハンティングボウ、腰にショートソード、右手にバックラーそして左手に

はアイアンスピアを装備して答えてくれた。因みに現役時代はBランクだったそう

な。


その後も冒険者としての内容を話してくれた。


「アのグレイウルフはCクラスのモンスターだ。そレを単独で打ち取っタ旦那は少

なくトもBランク以上の腕前ハあるナ」


 へ~、そーなのか。やっぱアイツ結構強かったんだな。


 道中は右手側にミュラ、左手側にシュガー、後ろはミックとソルトが押して補助

してもらっている。そして最後尾にはギランに警戒をしてもらっている。子供達は

全員馬車の中だ。


 暫く道なりに進んでいると急にミュラが話しかけてきた。


「マサツグ様、前方から何やら喧騒が聞こえてきます」


次回再び今度は奴隷達を率いての戦闘となります。

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