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3.誕生会

ブルック家の中庭では、ソフィアのために色取り取りの可愛らしい菓子が用意され、小さなお姫様のための華やかな誕生会が開かれていた。


ソフィアは招かれた有力者の子供達と何やら追いかけっこのようなことをして遊んでいるようで、ジョセフィーネは会場の入り口で暫くそれを眺めていた。

その中の幸せそうな景色が、まるで遠いどこかの国の出来事のようで、ただぼんやりと眺めていた。



「どうしたの?」


不意に、後ろから声をかけられた。


「小さい子ばっかりだから、退屈?」


振り返れば、金色の髪の少年が微笑んでいた。

優しい面差しの、それでいてとても端整な顔立ちの、自分と同じ年頃だろうか、そう思いながらジョセフィーネは少年に暫くの間見惚れた。


「僕はロバート。君は?」


その面差しに見合った柔らかい口調で、ロバートは言葉を続けた。


「・・・ジョセフィーネ」


ジョセフィーネは名を答えるのが精一杯で、微笑み返すことが出来なかった。


「初めまして、ジョセフィーネ。よろしくね」


そう言って、ロバートは右手を差し出した。


「よろしく」


ぎこちないながらも握手を交わし、どうにか笑みを浮かべることが出来て、ジョセフィーネは安堵した。


「僕は妹の付き添いなんだけど、君も?」



「いえ、わたしは・・・」

自分は主催者側の人間なので、きちんと挨拶すべきでは、とジョセフィーネが思案していると、


「ジョセフィーネおねえさま」


ソフィアが駆け寄って来た。


「あれ?もしかして」


ロバートがソフィアとジョセフィーネを交互に視線を動かすと、ジョセフィーネは堪らず、


「本日はわざわざお越しいただきまして、ありがとうございます。」


慌ててお辞儀をした。


「ありがとうございます」


ソフィアも真似て、愛らしくお辞儀をした。


「こちらこそ、お招きありがとうございます。それから、おめでとうございます」


ロバートも改まって、挨拶を返した。


「では、改めて自己紹介を。ロバート・アームストロングです」


ロバートのふわりとした柔らかな笑顔に、ジョセフィーネとソフィアは見惚れた。

あまり男性と関わりを持たないジョセフィーネですら分かるほど、ロバートは美しい顔立ちをしていた。

澄んだ湖のような青い瞳がとても美しいと、ジョセフィーネは思った。


ソフィアが子供達の輪に戻ると、二人はお互いに好きな本の話で盛り上がった。

始めは気が重かった誕生会も、ロバートのおかげでとても楽しいものとなり、この日のことはブルック家での幸せな思い出の一つとなった。

ほとんど屋敷から出ないジョセフィーネにとって、マリアンヌ以外では同じ年頃の子供と関わる機会など殆どなく、まして男の子であるロバートとはきっとそう会えることはないのだろうと思うと、とても寂しかった。

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