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王子、結婚相手を探してくださいっ! ~花嫁のれんをくぐって異世界に運命の人を探しに来ました~  作者: 菱沼あゆ


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誰にやられたんですか……?


「なんだお前たち、もう宝はないぞ」

とまだ水が湧き出たままの湖の前で女神が言ってきた。


「そうじゃなくて……」

と言いかけたアキは、


「どうしたんですか?」

と女神に訊く。


 女神は真っ直ぐ立っていた。


 女神らしく、すっと天に伸びるような姿勢で。


 真っ直ぐ立ったまま、ぴくりとも動かない。


 アキの方が背が高いのだが、女神の顔は真正面を見たまま。


 女神は、ずっとアキの胸の辺りを見ていることになる。


 ずっと胸を凝視されているが、相手が女性なので、ぶっ飛ばすことはなかった。


「お前たちが去ったあと、魔女の一撃にやられたのだ……」

と憔悴仕切ったように女神は言ってくる。


「魔女?」


 魔女という言葉に、なんとなく、巨大な鍋でぐつぐつ夕食らしきものを煮ていたアンブリッジローズを思い出したが、そうではなかった。


「ぎっくり腰だ」


「この世界でも魔女の一撃って言うんですね……」


 アキの世界でも、ぎっくり腰のことは魔女の一撃と呼ばれている。


「そうですか、お大事に。

 お若く見えても1000歳ですもんね」

と思わず言ったが、女神は、


「私は若いぞ。

 アンブリッジローズのように、時の洞窟には入っておらんからな」

と言ってくる。


「そうなんですか?

 おいくつなんです?」


 普通、女性には年は訊かないのだが。


 見た目若いし、綺麗だし。

 女神なので、まあいいだろうと思って訊いてみた。


「……1000歳ではない」


 そう言う言い方を女神はした。


 1000歳ではないにしても、やはり、かなり年齢はいっているようだった。


「ところで、なにか用があったのではないのか?」


 そう真正面を見たままの女神に問われ、

「あっ、そうなんですよっ」

とアキは声を上げた。


「あのっ、マダムヴィオレをご存知ですか?」


「……懐かしい名だな」

と女神は言ったあとで、


「やはり、お前は奴の縁者なのか? よく似ているが」

と言ってくる。



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